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狼たちの挽歌
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狼たちの挽歌 8

今まで俺のネタは不発続きだった。せめてヒットぐらいは打ちたいけどな。

相手は囚人だ、もし不発ならヤジが飛ぶくらいではすまない、一斉に俺をシバきにかかるだろう(看守達が止めるだろうけど防ぎきれるかどうか…)。とにかく失敗は許されない、俺は来る日も来る日もネタ作りに没頭した。

しかし、そう簡単にいいネタが思い浮かぶ訳はなく、俺は頭を抱えていた。




……………。

それはある日のことだった、俺はいつものように中央棟の廊下のモップ掛けをしていた。「………。」
「あんただろ?」見上げると一人の見知らぬ男が話しかけてきた、年頃は俺と同じといったところか。
「は?」
「例の漫才師だよ」
「あ?ああ…」
「…実は俺も漫才師なんだ」
「ほんとか?奇遇だな」
「ああ俺もさ、まさか同業者がいたとは思わなかったぜ」

「でも、どうして俺が漫才師だって分かったんだ?」

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