狼たちの挽歌 6
俺が走り続けると角からばあさんが出てきた。
ゲッ!俺は急に止まれん。
俺はばあさんと衝突した。
「いてて…ばあさん大丈夫か?」
俺は肩を揺すったが、ばあさんは地面に倒れてピクリとも動かない。
よく見ると頭から血が…。ヤバイ…。
「コラー!」
見るとオッサンがかなり近付いていた。
「許せ、ばあさん」
俺はまた走りだした。
うう…罪がまた増えてしまった…。
ピタ………。
ん?待てよ?これはひょっとしたらチャンスかも、
(あのオッサンにこのばあさんを殺っちまった罪を被せることができるかもしれない……。)
俺に一筋の光が射した。
我ながら名案だ。ハッハッハッ。
しかし俺は気付いていなかった。監視カメラに撮られていたことに。
この時気付いていればあんなことにはならなかったのに…。
だがこの時俺はオッサンを振り切るのに全力だった。目の前に血だらけのババァ、そして刃物オヤジ、誰がどう見ても一線を超えた老夫婦だ。
俺は自分の思惑どおりいくと信じていた。