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狼たちの挽歌
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狼たちの挽歌 5

こういうときはアレだ。
俺は目の前にあったコンビニに入った。
そして、何食わぬ顔でコロッケパンと牛乳を懐に隠し、何食わぬ顔で店を後にした。
「コラ!ドロボー!」
オッサンの声だ。店長だな。俺は走った。
俺はいつもパシリをやらされていたから逃げ足には自信があった。
捕まることはないだろう。
俺は夜の商店街を風のように駆け抜けた。

…………が。

「こら待てーー!」
もうだいぶ走ったのに後ろの声が止むことはない、少し振り向いてみたらオッサンの手には明らかに刃物がニ握られていた。
えっ!?何でコンビニのオヤジが包丁持ってんだよ。しかも、鬼気迫る表情で…。
もう2キロは走ってんのに オッサンはまだ追い掛けてくる。畜生、捕まってたまるか!

だんだんオッサンが近付いてくるのがわかる、俺はもう一度振り向いた。

「なっ!?」

さっき包丁だと思っていたものが軍用マチェットだった!あっ、あいつ見たことある!裏社会の人間だ!!

そんな奴が経営してる店に入っちまったのか。どうりでへばんない訳だ。
裏社会の人間はどいつもこいつも危ない奴ばかりだ。
捕まったらシバかれる。いや、それだけじゃ済まない。ドラム缶に詰められて、明日の朝には東京湾に浮かされてるかもしれん。
逃げ切るしか生きる道は無い。

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