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家族の絆
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家族の絆 9

一回やって分かったことは…やはり暖には勝てない。経験の差が著しく出てしまったのだ。
なので姉さんを追い越すことに決めた。母さんは悪いが、話にならないほど弱かった。
「ねー、次はー?」
「今度は難しいコースで♪」
急なカーブが多く、しかも柵がついてないのでコースアウトしてしまうようなコースになった。キャラは前回と同じである。
………………。
3、2……
スタートまでカウントが始まる。
1…スタートっ!!
「なっ…!?」
俺以外の三人はスタートダッシュを成功させた。
慌ててスタートする俺。
やや遅れているが追いつけないほどではない距離。ましてや遅いほうが良いアイテムが出るのだ。

「甘いよ、姉ちゃん…僕のコーナリングに勝てると思ってるの?」
「言うようになったわね、暖。でも伊達に私だって隠れて練習してたわけじゃないわよっ!!」
姉さんのキャラが暖を抜く。
てか練習してたのかアンタ。
「くそっ…!?おりゃ!!」
暖はアイテムで姉さんのキャラに攻撃をする。姉さんは器用にキャラを左右に振って避けている。
レベル高ぇ……。
暖と姉さんが必死の攻防をしている時に母はというと…
「……ふふふ」
とか言いながら一発逆転のアイテムを持ってたりする。
もちろん暖と姉さんはそのことを知ってるので、二人とも危惧している。
俺はというと地道に走ってるだけである。現在三位。
最終コーナーにさしかかる。
母さんがアイテムを使う。
まさに一発逆転。母さんのキャラは俺、暖、姉さんを抜く。
ここで姉さんはすぐ加速するアイテムを使う。
しかし暖の攻撃によってキャラが止まり、時間をロスする。
「よっし…!!」
暖は歓喜の声をあげる。このまま何もなければ二位は確実だろう。
姉さんも三位にとどまるだろう。
何もなければ…
「晃がビリっぽいわねー♪」
姉さんがキャンキャン吠える。しかしそんなのは気にならない。
きっと暖も知らないのだろう。
このゲームには隠しアイテムがあるということを…
俺は何もないところを走る。しかし、何も無いはずがアイテムを得る。母さん、姉さん…そして暖ですら驚きの表情である。
「なん…で…」
「暖…このゲームを買ったのは誰だっけ…?」
「…兄ちゃん」
「暖…!!注意してっ…!!」
姉さんが何かを感じたらしいがもう遅い。
俺はアイテムを使用した。
そのアイテムは一発逆転を超えて、必勝のアイテムである。その効果は自分以外のキャラを一定時間停止させるというもの。
「お先ー♪」
上機嫌な俺。
姉さんを抜かし…暖を抜かし…母さんを抜か…
プチッ…
………………
何故、画面が真っ暗よ。
気付くとリセットボタンに誰かの指が伸びている。
母さんだった。
表情は鬼、般若の類い。
暖と姉さんはコントローラーを持ったまま、ただ母さんの行動を目で追っている。
「このゲーム、面白くないわね」
そう言うとスタスタと台所に向かった。
そして台所から何かが飛んで来た。

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