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家族の絆
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家族の絆 7

「なぁ…」
「…キャサリン」
「おい…」
「…キャサリン」
どげしっ…
ミドルキックは勝の脇腹に直撃した。
「いっ…てぇぇな!!!!」
「男の子なら我慢しろ」
「くそぅ…キャサリン聞いてくれよ。俺の友達が…」
どげしっ…
「いてぇんだよっ!!」
「まぁ俺の話を聞け」
「なんだよっ…!!??」
あぁ…きっと絶望するんだろうな…。
「それ…本当は鳥が見える」
「えっ…?」
「いや…だから鳥が…」
「その鳥の名前は…キャサリンか?」
「知らん」
勝はもう一回絵に目を向けた後に、エロ友達である仲川君のところに行った。
「鳥ッス!!」
仲川君はエロいがちゃんとした人間だった!!
ぽつんと教室の隅で縮こまる勝。
「もう…キャサリンが見えない」
「俺には最初から見えなかったけどな」
「鳥なんて大嫌いだ…」
「あっちもお前が嫌いだ。よかったな、気が合うんじゃないか?」
その後、先生が来たので無理やり椅子に座らせた。机に突っ伏す勝。
「まぁ…あれだ…失恋を経て君はまた一つ大きくなったはずだ」
「…きっと…キャサリンは俺にしか姿を見せないんだ」
全然ダメだった。

「晃…?」
放課後、教室で静香を待っていたらいつの間にか寝ていた。
「ん…あぁ…わり…寝てた」
気付いたら教室は朱色に染められ、机からは影が伸びていた。
「知ってる…見てたから」
「げ…起こせよ」
「気持ち良さそうだったから…」
俺に微笑みを向けた静香の髪が夕陽のせいで七色に光っていて、少しドキリとする。
「でも…暗くなる前に帰ろうと思ったから…起こしちゃった」
「いい判断だよ。じゃあ、帰ろう」
「うん」
夕陽の中、二人で手を繋いで帰る。
「…晃」
「何…?」
「私…今、幸せだと思う」
「俺も…できればこの幸せが続いて欲しい」
「…同じ気持ちでよかった」
変わらないと思う…この気持ちだけは。
隣りにいつも静香がいて、いつも二人で笑っていて。
静香が握る手が強くなる。それに応えるように俺も強く握る。
それだけで静香は笑ってくれる。
その夕陽で彩られたあどけない笑顔を…
俺は絶対忘れないことにした。

「何、幸せそうな顔してんのよ」
「なんか兄ちゃん、にやけてるよね?」
「料理…そんなにおいしかったのかしら?」
あの夕陽から一時間後、いつものように四人で食卓を囲んでいると姉、弟にしっかりツッコミをうけた。母さんは…おいしいのはおいしいが勘違いをしている。
「…母さんの料理が美味くて」
母の顔が明るくなる。
「嘘よ…だってこの煮付け、不味いし」
姉さんの冷ややかなつららが母に突き刺さった。
パク…
あ、本当だ。まず…。
「と、とっても美味しいよ!!」
暖が慌ててフォロー。
「ありがとう、暖♪美佳…ふふふ…たんとお食べ…♪」
こわっ…!!
二日後、姉が母に頭を下げていたのはなんだったのかは誰も知らない。
「それで…いったい何があったのよ…お姉ちゃんに相談してみなさい♪」
「この煮付けが…」
「そのネタはもういいから」
俺の唐揚げが取られる。
「あっ…!?何すんだよ…!!」

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