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家族の絆
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家族の絆 3

雲行きが怪しくなってきた。
「お、おはようございます…」
片言の日本語を喋るこの人はお隣りさんのマルク・セブラさん。どこから来たのかは不明である。
「今日ハイイー天気デスネー!!」
「そうですね…じゃあ俺、走ってきますんで…」
「ヘイ!!チョット待テ、ソコノ坊主!!」
雨が降りそうだ。
「なんですか…?」
「…ミカサンハ元気デスカー?」
「…?…元気ですけど…?」
「ヨカッタデース!!」
「特に今日は彼氏が来るんで尚更…」
「ショョョョョッッッック!!!!」
うわぁ…雷が落ちた…。
「コノ、クソガキィ!!??朝カラショッキングダゼェ!!!!慰謝料払エヨ!!!!」
「すいません、すいません。何がなんだか分かりませんがすいません…それじゃあ!!」
ダッシュする俺。
「オイ、待ツンダ、クソガキィ!!!!マダ話ハ終ワッテネェゾー!!!!」
フェードアウトしていく片言。触らぬ神に祟り無しとは正にコレ。ただ神じゃないことは確かである。

走り終えて公園で一息入れる。相変わらず気温は暑い。朝から汗だくになってしまったことを今更後悔する。
「晃………?」
呼ばれたほうを振り返ると静香がいた。
「あれ…どうしてこんなところに…?」
「朝のお散歩…」
「へー…おはよ」
「…おはよう」
静香は俺の隣りに座った。
「あ…汗臭いよ?」
「平気…晃のだし」
むー…愛されてる感がヒシヒシと伝わって来る。
「晃は…何してたの?」
「あぁ…朝早く起きちゃったからランニングしてた」
「びっくり…晃は…お寝坊さんかと思ってた」
「ひでー…」
「あ…ごめん…」
「お詫びとして今からうちに来いよ?朝メシ、一緒に食べない?」
「え…迷惑かかる」
「今更…いいから来いって!!」
「じゃあ…行く」
さりげなく誘い込みは成功した。
休日は彼女と一緒に過ごしたいのである。

「晃……?」
「ん?何…?」
「なんで…コソコソ…?早く家に」
「ちょっと待って」
お隣りの外人がいないかを確かめる。
…いない。
「さ…早く」
「う……うん…」
「オハヨーゴザマース!!」
「うわぁ…!!!?」
でたぁ……。
「…おはようございます」
「お、おはようございます…」
「ソコノ…彼女ハ…?誰デスカー?」
「あ…私は…」
「親戚の美幸ちゃんです」
「ミユキ…?」
「え…晃……?」
「美幸ちゃんです」
「オー、ミユキ…ヨロシクネー?」
「……よろしくお願いします…」
わけも分からず静香は頭を下げる。
「じゃあ母さんに呼ばれてるんで…」
「ソウデスカー、ミユキ、マタデスネー!!」
あいつめ、いつか本国に帰してやる。
「…誰?」
「姉さんのストーカー」
「え…晃と…仲良さそう…」
「隣りの人だからな…一応」
「それは…大変…」
「あぁ…だから静香まで目をつけられたら困る」
「…ありがとう」
静香は微笑みを浮かばせた。それを横目にドキドキしながら家に入る。
「ふっ…静香まで目をつけられたら困る」
姉さんが玄関前で俺の真似をしてる。

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