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家族の絆
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家族の絆 14

「えっとな…」
「うん…」
「後ろに勝がいるから言わねー」
「なんでバレた!!」
勝の忍び足はバレバレだった。
「はぁ…お前、いつも邪魔な?」
「ひでー…静香ちゃん、こいつひでーよー…」
「そうでもない…」
「くっ…漁夫の利か!!」
四面楚歌だ。
「お、覚えてろー!!」
ザコキャラのようなセリフを吐き捨て逃げるリアルザコキャラ。
「ふぅ……ったく…あいつはガキの頃から…」
「それで…?」
話も反らせなかった。
「俺は…静香と同じ理由だよ」
「…本当?あの日のこと…思い出した?」
「あぁ…寒い日だった」
「良かった…」
そう…それは寒くて…でも暖かい思い出。

一大事が起きた。
恐らく他の一般家庭なら普通…いや、喜ぶべきことなんだろう。
「ただいま…」
父が帰ってきた…。
父が帰ってくると、家の雰囲気はガラリと変わる。一言で言うと…微動だにできないほど重苦しいのである。
「土産だが…」
家族全員、行儀よく椅子に座る。
「まず…暖」
スフィンクスの置物だった。
「あ、ありがとう…」
ぶっちゃっけ、いらない。
「次…晃」
自由の女神の銅像。
「…………ありがとう」
かなり、いらない。
「次は…美佳だが…」
黄色い熊のぬいぐるみだった。
「ありがと」
似合わない。
「母さんは…」
外国の調味料だった。
「嬉しいわ…♪」
ひいきだった。
「今度は一か月くらい家にいる予定だ」
父さんがさらりと爆弾発言をして自室に戻った後、家族会議(母以外)をすることになった。
「ねぇ…どうする?」
ぬいぐるみを片手に姉さんは言った。
「どうするって…どうする?」
自由の女神を暖に向けた。
「普通に過ごせばいいんじゃないの?」
スフィンクス野郎はいとも簡単に言った。
「それができないから聞いてるの」
ぬいぐるみが喋った。
姉の声だった。
「だから普通にすればいいじゃん」
スフィンクスが喋った。
暖の声だった。
「できないって…。あんな難しい父親の前で」
「家族じゃん…お父さんだってそうして欲しいんじゃない?」
熊とスフィンクスが口論をしていた。
すげー…。
「おれ…私も普通でいいと思うわ」
「なに、その喋り方…」
「自由の女神だし…」
女神が参入した。
俺の声だった。
「二対一だよ、姉ちゃん」
どうやらスフィンクスの姉は熊らしい。
「分かった…普通にすればいいんでしょ」
半ばヤケ気味に熊は言い放った。
「決定だわ…!!」
ちなみにコレ俺。
お土産が役にたった瞬間だった。

翌朝…
「はよー…」
姉さんが凄い髪と凄い格好で階段から降りてきた。
俺らは普通通りなので気にはしない。
父を見る。
箸が止まっていた。
ご飯、こぼしてるし。
「おはよう、美佳…その格好はなんだ…?」
「んー…?私、ご飯を食べてから整える派だから」
「…そうか」
納得しないで欲しかった。
それから姉さんは父さんが驚くことをやってのけては、何かと屁理屈を言っていた。
「美佳…その短いスカートはなんだ…?」
「これが制服だから」
「その鞄はなんだ?」
「学校指定の」
「…そうか」

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