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家族の絆
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家族の絆 12

「それでー…美奈ちゃんとは話したか?」
「うん!!今日、一緒に帰ってきた!!」
「進歩早ぇな…友達になったか?」
「うん!!」
「そうか…よかったな…」
「ありがとう、兄ちゃん!!」
暖は嬉しそうだった。きっと初恋の相手なのだろう。今までゲームとか遊びにしか興味が無かったやつが、ついに異性を気にし始めた。
俺もこんな感じだったのかと思うと…兄としては手助けしたいところである。
「まずはいっぱい話しろよ?」
「分かった!!じゃあね…!!」
暖は退室した。
あの笑顔。本当の恋愛を知らない笑顔。
あどけない笑顔。
澱みのない笑顔。
真っ直ぐな笑顔。
その笑顔は眩し過ぎて、凝視できないくらい綺麗だけど…幼過ぎて、今にも崩れてしまいそうに見えるのは…
俺だけだろうか…

「今回のハンバーグは…自信作」
パクリ…
「お、ホントだ。うまい…」
「今回の卵焼きは…少し失敗」
パクリ…
「うーん…ちょっと甘過ぎるかな…?」
「今度は…どっちも成功したい」
パクパク…
「まぁ…十分美味しいんだけどな」
静香とのランチタイム。
いわゆる学校の中で一番の至福の一時である。
ちなみに二番は授業中に寝る時。
「仲良いどすなぁ〜」
至福の一時は本当に一時でしかなかった。
…勝の出現である。
「なんだその曖昧な京都弁は…何か用か…?」
「いんや…?少し、からかいに来た」
「ならー……邪魔」
「晃…それは酷い」
「そーだ、そーだ!!さすがは静香ちゃんは分かってるねぇ…」
第三者が介入すると、途端に俺と静香の歯車がかみ合わなくなるのだ。
「でも、静香ちゃんはこいつのドコがいいわけ?」
静香の箸が止まった。
「え…その……」
静香が助けを求めて俺を見る。
だが、俺も気になるので黙っていることにした。
「………ひ、秘密」
逃げた。
「えー…静香ちゃん、それ無いなぁー…」
「ごめんなさい…恥ずかしいから」
「謝ることねーよ」
「じゃあー…晃は静香ちゃんのドコがいいと思ったんだ?」
ギクリ…
俺の箸が止まった。
静香に助けを求める。
あ…目を逸らされた。
「ほら早くぅ…」
「言えるかよ…んなこと」
「君もシャイボーイなのかい?」
「うるせぇなぁ…どっか行けっての」
「面白くねーなー…さらば、シャイボーイアンドガール」
去り際のセリフは意味が分からなかった。
「晃……教えて…」
「ん…何を?」
「私の…ドコがいいか…」
静香は顔が真っ赤である。
何をどう望めばこうゆう状況になるのか聞きたいところであるが、元凶は勝ですヨ。
「恥ずかしいから…ヤダ。それに静香が最初に聞かれたんだから静香から…」
「私は…」
珍しく静香が俺の言葉を遮る。
「私は…最初会った時…晃が…優しい人だと思ったから…」
静香さん…顔がゆでだこみたいになってますよ。
「最初って…初めて会った時?」
「うん…一月五日」
「よく覚えてんな…でも俺なんかしたっけ…?」
半年以上も前のことを思い出してみる。記憶の底からゆっくりと…。

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