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俺の守り神・ぷらす
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俺の守り神・ぷらす 9

「分かった…久しぶりの外はどうだ?」
「うーん…わかんにゃい♪」
まるでダメである。

「優君、ちょっといいかね?」
急に俺が呼ばれた。
「あ、はい…?」
ドアを開ける。すると椅子に座ったオッサンと…一人で踊っている水名がいた。
「親の私が言うのはなんだが…どうにかしてくれないか?」
返答に困る。いや、あんた親だろ。
「ミナ?椅子に座ったらお菓子あげる」
「マジ?♪すわるー♪」
椅子に座る水名。餌付けは見事に成功した。
「ふむ…うまいな…」
いや、あんた親だろ。
てか水名にあげたお菓子を食べるな。
「じゃあ…親子水いらずで…」
「待ち給え、優君」
「なんスか?」
「…水名は…元気か?」
「……うるさいくらいに」
率直に述べてみた。それを気に入ったらしく笑顔でヒョイパクとお菓子を食べるオッサン。
いや…オッサンが笑顔でお菓子食べてても、全然可愛くないです。
「どうやら…君には知識があまり無いと見える。悪い意味で言ったわけではない」
「悪い意味にしか聞こえないですけどね」
「どうやら君は…神について疑問があるのでは?」
図星だった。神がこのオッサンに選ばれるとして…どうゆうふうに。いきなり、アンタ神だから…と言われるのか…もしくは…。
「…教えてくれるんですか?」
「娘が世話になっているからな…いいだろう」
オッサンは微笑みながら…妖しく頷いた。
「じゃあ…今俺が神になるにはどうすればいいんですか?」
実に的を得た質問だった。何もしなくていいのならば、何もしなければいい、と聞ける。何かするのならば、することを聞ける。
「……神になりたいのか?」
「……………いや」
長い沈黙が場を濁らす。そして…最初に口を開けたのはオッサンのほうだった。

「いいかい優君。神になるにはね?死ななきゃいけないんだよ」

心の奥深くにオッサンの言葉は突き刺さった。
「神になるものは死をも超える力が必要なのだ。そうゆう人がごく稀にいる。私はその人達を選び神にしているのだ」
俺のことなど構いもせず、オッサンは淡々と話を続ける。
「彼女ら五人は全員…死を体験しているのだよ」
一番を聞きたくない言葉を…聞かされた気がした。
「そん…な…」
「驚きだろう。しかしこれが事実だ」
受け止め難い事実…。オッサンは嘘を言ってない…と思う。何回考えても、その事実を覆す技量は俺にはなかった。
「さて…私は娘や他の神の安否を確認し終えたので帰ろう」
ガタリと椅子を立つオッサン。
「最後に一つ質問だ」
「ん?何だね?」
「その方法以外で神になる方法はあるのか?」
オッサンは瞼を少し開かせた後に笑いながら…
「ない」
と答え、我が家を出て行った。

気付くと水名はソファーで寝ていた。オッサンの声を思い出す。

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