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亜紀13.5才
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亜紀13.5才 9

しかし、この塔には座る場所などない。
おかげでバランスを崩した亜紀の手が塔から離れる。
「キャアアアッ!」
落下する亜紀。
あっという間に地面が近付き、轟音とともに地中に埋まった。
「…痛たた」
亜紀は死人なので、これ以上死ぬことはないが、痛みやケガはそのまま受ける。
「…私ダメだなあ」
嘆く亜紀。
「おーい!誰かいるかあー!」
亜紀が見上げると、誰かが穴を覗き込んでいた。
よく見ると、ケヌキー隊隊長(ジャン)だった。しかも、片手に缶コーヒーを持って。
彼はこの地獄生活をエンジョイしようと、地獄旅行をしてる途中だった。
隊長(ジャン)の姿を見た亜紀は、いきなり鼻糞マグナムを放った。
鼻糞の高速弾丸が隊長(ジャン)を襲う。
「うおぉっ!」
隊長(ジャン)はギリギリのところで、鼻糞マグナムをかわした。
しかし、体勢を崩したため、右手に持っていた缶コーヒーを腕に零してしまった。
「アチチチッ!この野郎!いきなり何すんだ!」
「それはコッチのセリフよ!何でアンタがこんなとこにいるのよ!」
「観光だよ、地獄にもいいスポットがあるらしくてね。それで地獄巡りすることにしたんだよ」
「か、観光?」
「ああ」
ジャンは背中に背負ったリュックから〔るるぷ〕を取り出した。
「何しろこの辺りは名所が多いからな。血の池、針山なんて有名どころのほかにも…」
「そんなことどうでもいいから、早くここから出しなさいよ!まったく…息苦しくってしょうがないわ」
ついさっき吐いた弱音はどこへやら、自作の井戸の底で強がる少女を見やるジャン。
最強の敵として、自分と仲間たちの前に立った戦士が、今迷っているのを感じた。

「そこから出て、一体どうするというんだ?またそこの馬鹿みたいな塔でも登るのか」
相次ぐシリアス展開に尻ごむ亜紀。ノリとテンションで生きる年頃には、辛いものがあるのだ。

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