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亜紀13.5才
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亜紀13.5才 8

高笑いするオヤジに亜紀はやれやれという感じだ。
「じゃあ、僕に着いてきて」
亜紀は頷いた。
「亜紀、頑張れよぉー!」
体はボロボロでも元気なオヤジはエールを送った。
「さぁてと、ワシは何するかのお」
オヤジは妄想を膨らませた。

30分後、二人はまだ地獄を歩いていた。亜紀はこの赤鬼がすぐに閻魔宮に連れて行ってくれると思っていたが、地獄からの近道はなく、瞬間移動の類いも使えなかった。
これは地獄に落ちた者が勝手に閻魔宮に来ることを防ぐためだ。
しかし、閻魔宮に行く道は一つだけあった。
「はあ…はあ…ちょっと、いつまで歩くのよ?」
すっかりバテ気味の亜紀。
「もう少し、ほら!アソコに高い塔が見えるでしょ?あれが地獄と閻魔宮を繋ぐ唯一の塔、コンペイ塔だよ」
「金米糖?」
その名を聞いて亜紀の声が裏返った。
赤鬼が指差すコンペイ塔は天高く聳え、頂が見えない。
「あれを登る訳?」
「ピンポーン、コンペイ塔の頂上が閻魔宮に繋がってるからね」
「…高そうね」
「まあ、4649兆メートルあるからね」
「はあ〜!?4649兆メートルゥ〜?」
驚愕する亜紀。
「いくら何でも単位あげすぎじゃない?カリン塔だってもっと低いわよ」
思わず持ち前の遠慮のない発言が戻ってしまった。
「上空に放り投げてくれる原住民か空飛ぶ雲でも探しましょうか」
「黙れ」
何故か話せる赤鬼に内心動揺しつつ、亜紀は再びその頂の方角を見上げた。

「どうする、やめる?」
赤鬼が無表情に訊ねた。
「たぶんこの塔を登り始めたら、上にたどり着くまでにそれこそ何年もかかるかも…。それに途中で力尽きて落ちたりしたら、たぶん……すごく大変なことになる」
亜紀はまだ頂の方角を見続けていた。
「無理することはないんだよ。君がここにいることが、もう償いなんだからさ」



「……今気づいたんだけど」
亜紀が呟く。
「やっぱり…もう私は楽しちゃだめだ……。もっと苦しまないと…みんなに申し訳ないから…」
塔に手が掛かった。
「アタシ登る…!」亜紀13、5歳、その決意。

「そう…」
赤鬼は微笑んだ。
「じゃあ僕は後から行くよ。君は先に行ってて」
「わかった」
ついに登り始めた。
落ちることすら許されないまま、登りつめなければならない。そんな覚悟をすでに亜紀は持っていた。
一歩、また一歩と亜紀は登る。
10分ほど登り続けただろうか?おそらくまだ100mも進んでいない。


「飽きた。」始まって10分亜紀は疲れてしまい、その場に座りこんだ。

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