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亜紀13.5才
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亜紀13.5才 11

いらっとくるのも当然だ。
「ちょっとあんた達、いったいこれは・・・!」
「おっしゃりたいことはわかります」
憤る亜紀を平然と制する赤鬼。こいつもただ者ではない。
「これら一連の流れは、閻魔様に取り次ぐ資格を問う試験だったのです」
一人ほっとかれた親父が泳ぎ出した。
「生半可なことでお通ししていては、閻魔様も仕事になりません。そこでこのような形式をとるのです」
やおら自由型で泳ぎ出したオヤジ目掛けて亜紀は石をぶん投げてやった。振り向きざま難無くキャッチするオヤジ。彼もまた、ただ者であるはずがない。
「ほれほれ、塔の頂上はまだまだじゃぞ」
親父がニタニタ笑いながら指す方向には塔が高く聳える。
「…まだまだ?」
「ここは地上50mですからね、先は長いですよ」
「(全然じゃない…)」
「まあ地獄を堪能するのも一興じゃぞ、ガハハ!」
「…一緒にしないでよね」
亜紀は再び塔を登り出す。果てなき頂を目指して。
「フレーフレー亜紀」
親父の呑気な声援が聴こえた。
「ちょっと休みたいな…」
そう亜紀が思っていると『↑1km上、ヘブンイレブン』と書かれた看板を発見した。
「コンビニね、やった」
亜紀が駆け登ると、ヘブンイレブンの建物があった。
「いらっしゃいませー」
店員の緑鬼が会釈する。
「ファ○マか!?」
大きくのけぞって声を上げる亜紀13.5才。
11に名づけるなら赤くあれ、そう遠慮なしに言いたくなる年頃の女の子。
「はぁ・・・」
意味をくみ取れない様子ではまだ新人である。
言いたいことが伝わらない。現代社会の闇、現代教育の暗部。
それこそがYUTORI。
「・・・まあいいわ、カフェラテのM、ホットで」
「はぁ・・・」
気のない返事を続ける店員にフラストレーションが溜まる。
こちとらキレル十代で通った若者、油断を見せたら即斬の魔物。
許されざる怠慢、悪行断つべし。
「オラァ!」
繰り出された拳がさえぎられる。
顔の通りの緑色の掌に、亜紀の拳が収まっていた。
「争うことでは伝わらないこともある、そういう事です」
あいた片腕でレジを持ち上げる。若さこそパワーだ。
「これ以上罪を重ねるというのですか・・・」
「ぽっと出のキャラ風情が、主人公(わたし)に説教するんじゃ・・・」


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