亜紀13.5才 7
暴れ疲れたところで、亜紀はその場にへたり込んでしまった。
「そりゃね、私だって悪いよ。いろいろムカついたりして変身して、結局地球のみんなまで消しちゃって…。
けどさぁ、私だって何とかしなくちゃって思ったんだよ。何とかして地球を守らなくちゃって思ったんだよ。そしたら意識がボーっとなって、気づいたら地球がなくなってて、地獄に行けーって言われて。国家予算の何年分ぐらいのポイントを払えーって…。大陸の形が見違えるぐらい地獄にいろーって…。ヒドいよ。私まだやりたいこと、いっぱいあったのに…。うう…う…」
ついに亜紀は泣き出してしまった。
どんなに強く、気高い戦士とはいえ、まだ亜紀は高校生にもならない子供。目の前に積まれた厳しい現実に耐えきることなど、できるはずもなかった。
(こんな時、ワシが亜紀の支えになってやらねば…)
亜紀のもとへ寄ろうとするオヤジだが、その体は微動だにできぬほど破壊されていた。亜紀に。
(む…無念…)
途方に暮れる少女に救いの手をさしのべたのは、ついさっきまで傍観していた赤鬼だった。
「よし、再審請求をしよう。」
「え…?」
突然のことに戸惑う亜紀13.5歳。
「もう一度閻魔様のところに行ってポイントを減らしてもらうんだよ。」
「そんなことできるの?」
「僕に任せておけば大丈夫。必ず逆転してみせるよ。」
なんの根拠もなく約束した赤鬼。あまりにも胡散臭く、とても信用できる人物とは思えなかったが亜紀には彼に頼る事が残された唯一の(楽な)道だった…。
「それじゃあよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく。僕は奈婁捕怒烏。君は?」
「私は亜紀よ」
「亜紀か、いい名前だね」
「ワシ、ワシが名付けたんじゃ」
オヤジは白い歯を光らせた。
「さすがお父さん、センスありますね」
「いやぁ、そんなことあるよ、ハハハ」