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亜紀13.5才
その他リレー小説 - コメディ

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亜紀13.5才 5

「いいか、誇り高き者は…最も誇り高き者はだ!決して這い蹲り続けん!!命ある限り、倒れても、敵を底から見上げるなどという屈辱を拝し続けることはないからだ!我々ケヌキー隊は、崇高なる目的の名の下に結された、宇宙で最も誇り高き部隊である!!貴様等はそれを忘れたか!!!」

隊長の熱は、今、確実に隊員へと伝播していく。

一人、また一人と、悲鳴を上げる膝を奮い立たせて起立する。

「神に祈るな!心挫けるな!過去を思うな!敵は前にあり!!これより我々ケヌキー隊は死地に行きる!!!」

雄叫びがあがった。戦争再開の合図であった。


「ふん、パクリ台詞とはいえ…なかなかだな。だが、ここがコメディカテゴリーであることを忘れたお前等にもう用はない……!」
亜紀のオーラ、金色のオーラが両の手へと凝縮されていく。
その両手で印を結び、突き出した指を自らの鼻の穴に。
指が抜き出された時には、人知を越えたサイズの鼻糞が指に付いていた。
その鼻糞に、両手のエネルギーが移る。


「…さらばだ、戦士たちよ」

金色に輝く鼻糞を丸めた。



「オーラ・キャノンッ(黄金鼻糞)!!!」

放物線を描いて、一つの光る鼻糞が弾かれて飛ぶ。


「…きれいだ」
それが隊長最後の言葉だった。
大轟音とともに地球は消滅した。亜紀も親父もケヌキー隊も地球人も全て…。超鼻糞神士に覚醒した亜紀は、力の加減が分からず全力でオーラ・キャノンを放ってしまったので、地球が耐え切れず爆発してしまったのだ。
その頃、遠く宇宙の星では、二人の男がケヌキー隊の宇宙船と繋がっていた無線を聞いていた。音は雑音から無音に変わった。
「…ジャン(隊長)め、死におったわ」
「情けない奴だ、10億人もの兵士を引き連れて全滅とはな」
「どうする?バーナ」
「とりあえず上に伝えておこう」
バーナと呼ばれた男は立ち上がった。
遠い宇宙で何かが起きようとしていた。
一方、死んだ亜紀は地獄にいた。
10分前、亜紀は死人が必ず訪れる閻魔宮にいた。
裁きを前にドラムロールが鳴る。
ジャカジャカ…ジャン!
「亜紀、お前は地獄行きじゃ」
音楽が止むと、閻魔大王はそう亜紀に告げた。
ファファファファファ〜ン
残念の音楽が鳴る。
「な、何で私が地獄に堕ちなきゃいけないのよ!私は悪のケヌキー隊を消したのよ!」
閻魔大王は机を叩いた。
「バカモン!お前は地球も消したではないか!お前は守るべき地球を破壊した。そんな奴がヒーロー面するな!」
「ちょっ、待ってよ!私は…」
「黙れ!頭を冷やせ、鼻糞女」
閻魔大王は机の赤ボタンを押した。
ガタッ
亜紀の足元がパカッと開いた。
「キャァァーッ!」
亜紀は地獄へ急降下した。
ドシッ!
亜紀は尻から落ちた。
「あいたたた……え?」
尻を摩る亜紀の目の前には、厚い雲に覆われた暗い世界、地獄があった。
「ここが地獄…?」
「そうだ、ここは地獄だ」
聞き覚えのある声、父親だ。
「な、何でここに?」
「ケヌキー隊に加担した罪だとな、いやあ参ったわ」
父親の頭上には、死人の証である金色の輪が浮いていた。

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