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ミンナ生カシテアゲル
その他リレー小説 - ホラー

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ミンナ生カシテアゲル 10

事件のあった前日、私が校舎裏に落ちてた古びた本を拾って、中を見たら呪文のようなものが書かれてて、加菜恵達と面白半分で試してみたら、私達7人の名前以外のクラスメートの名前が浮かび上がってきた。
そして翌日、あいつが教室にやってきて…。
あの時、あいつは飽きたから私達を生かしてやるって言ったけど、あのことで私達を殺したくても殺せなかったのよ。
17年後の今日を指定したのも、今日じゃないと私達を殺せないからなはず。
カバンに入れてきたあれを使えば、あいつであってもきっと…。
私があいつを何とかする。もう誰も死なせないわ。


…12分後、奈都の車は名流小学校の前に到着した。
夜の、特に古い校舎はおどろおどろしい雰囲気を放っている。
「(ここにみんなが…?)」
「奈都…」
不意に少女のような声が聞こえたが、周囲には誰もいない。
「誰?…まさか、あの時の?」
奈都の脳裏にあの惨劇が一瞬よぎる。
奈都はグッと拳を握り締め、開いた通用門から校庭に入る。
そんな奈都をあいつは校舎の窓から見ていた。

奈都が校舎に入ると、中は静まり返っていた。
周囲に気を配りながら階段を上り、3階の廊下に辿り着く。
少し離れたところに暗くてはっきりは見えないが、僅かに注ぐ月明かりで小柄な少年のようなシルエットが見えた。
「やっと来たね、フフフッ」
あいつは笑い出す。

黒づくめの服装でポンチョのフードを目深に被り顔つきはわからない。
そして当然のように銃を持っている

「ゲームを始めようか?」



冗談みたいな服装と態度、間違いない。
ドリルかスプレーみたいな形の銃も一緒、玉が沢山打てる奴。
仮に模倣犯やエアガンの類でも先手を取られたら危ない。
でもまだアイツは私を標準してない、なら!…



奈都の決断は早い、右手をバッグから引っ張り出しアイツの顔面を照準。

青黒い亜鉛ダイカストのフレーム、鋼板プレスのスライドからクローム鍍金の小さな『銃口』が突き出ている。それはサタデーナイトスペシャル、と通称される小型拳銃と類似していた。

「銃を捨てなさい!打つわよ!」
「話を聞いてくれないかな?」

奈都の双眸と小型拳銃の銃口が睨みつけるも、アイツは態度を崩さない。
「ふざけないで!こっちが先に標準してるのよ!」
「標準じゃなくて照準ね。」
「能書きはいいから!銃を捨てて私の質問に答えなさい!」
「だから話す気はある、でも質問には答えたくない、ニュアンス伝わんないかな。」

奈都には無闇に撃てない理由があった。
まず第一に小型拳銃の正体が防犯用の催涙スプレー銃だからである。
催涙ガスでアイツを無力化してから、本命の切り札を使う作戦。
何より迂闊に目潰しを早まれば乱射されかねない。

「それ何がどう違うのよっ?」
「いいかいナッちん?僕は質問に答えるのは嫌だ、けど話はしてやる。」

反抗期の子供を相手するかの様なやりとりに、奈都は苛立ちを必死で堪えた。

「ああもうそれでいいから銃を…。」
「うんじゃあ置いたら話聞いてね?」

以外にも黒い少年は素直に従った。

彼は一度マガジンを抜いて空撃ちし、固定撃鉄を内蔵したボルトを前進させて見せる。
奈都は何度か瞬きを繰り返しながら何となし、暴発を防ぐ措置なのだろうと思った。

(参考までにKG9等のオープンボルト銃で、安全装置がない機種での措置。)

そこで奈都はもう一つ気付く、切り札たる『あれ』が通じなかった時の問題だ。
もしも保険として、銃を奪い最悪の場合、アイツを射殺するという選択が断たれた。
更にアイツはご丁寧にも床に置いた銃本体を右、マガジンは左の壁際に蹴飛ばした。
仮に運良く両方回収出来たとしても、奈都にはその状態から射撃状態にする手順がわからない。
そもそも彼女の手にある拳銃型の催涙スプレーさえ、どれが安全装置だかよくわかっていないのだ。

だがやるしかない、奈都は躊躇いなく催涙ガスを噴射した。

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