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ミンナ生カシテアゲル
その他リレー小説 - ホラー

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ミンナ生カシテアゲル 9

奈都は家にいた。気にはなっていたが、わざわざ行こうとは思わなかった。
だがその時、加菜恵からメールが来た。
『たすけてなっちん』
「…加菜恵?まさか!」
今日はあいつの言う同窓会の日。これはつまり…。
奈都は分かっていた。何故自分達7人だけが殺されなかったかを。
「(……私があの時の、あいつのことを清算しなくちゃいけないようね)」
奈都は覚悟を決め、手早く準備をして学校へ向かった。


名流町までは高速をとばして20分程かかる。
その間に奈都は加菜恵に何度か電話をするが、彼女は出なかった。
しかし、暫くしてから、
『お願い、早く来て』
と、メールが届く。
気付いた奈都はすぐに電話をするが、やはり加菜恵は出なかった。
さすがに運転しながらメールは打てないし、高速の途中で停まることも出来ないので、奈都には電話をする以外為す術が無かった。
それからも加菜恵からメールが送られてきた。
『私が殺されてもいいの? 友達でしょ』
『何してるの! もう待ち合わせの時間はとっくに過ぎてるわ』
次々とくる加菜恵からのメールに、彼女の状況が分からない奈都の不安感は増していった。

名流町に入った頃には、午後9時を過ぎていた。
奈都は高速を降りてすぐに路肩に止まり、
『どうしたの? 何で電話に出ないの?』
と加菜恵にメールをした。
『アイツが私を探してるから隠れてる。だから早く助けに来て』
すぐに返信が来たので、奈都もすぐに、
『どこにいるの?』
と返す。
『そっちこそ何処にいるの? まさか忠告を無視して来ない気じゃないよね?』
忠告……? 確かに葉書が届いた日に電話がかかってきて、“アイツ”から忠告は受けたが……。
何かモヤモヤした疑念が、奈都の頭に浮かんだ。
『高速を降りたところ。もうすぐ名流小に着くけど、どこにいるか分からないと助けられないわ』
再び奈都はメールを送ってみる。
『ミンナがどうなってもいいって言うの。ナッちんは薄情な子だね。着いたら教えるから、早く来て』
『皆いるの? 大丈夫なの?』
『ナッちんが来れば大丈夫。来ないと分からない。だから急いでって言ってるの!』
加菜恵からのメールは徐々に荒々しさを増していった。
どういう事? 私が行けば大丈夫?
奈都はやはり何かが引っ掛かかり、もう一度メールを見直した。

みんな捕まってて、加菜恵だけ“アイツ”から逃げてどこかに隠れてる? だから電話に出られない?
メールを見るとそんな感じに想像できる。
だけど……。

奈都は、ハッとした。
この加菜恵のメールは気持ち悪いのだ。
端々に見える、意地でも学校に呼ぼうとする積極的なメールが“加菜恵らしくない”。それに助けを待っていると言うよりも、私が来るのを待っている様に思える!
極め付きは電話に出ない事だった。電話に出れないのは隠れているからではなく……。
そう閃いた奈都は、同時に最悪な状況を想像してしまった。
それが外れていて欲しいと願いながら、奈都は、
『あなた、誰なの?』
とメールを送った。

加菜恵からのメールが止んだ。
奈都は携帯を握り締め、ハンドルに伏せたまま動けなかった。
加菜恵はもう殺されている……。そればかり考えてしまう。
引き返そうとも思っても、加菜恵が本当に待っているかもしれない、という希望も捨てきれず、戻る事も出来なかった。
それにメールにあった“ミンナがどうなってもいいのか?”と言う事も、奈都は気になっていた。メールの相手が偽物としても、何故かそれまでもウソとは思えなかった。

また携帯が鳴った。画面の“加菜恵”の表示に、奈都は一瞬困惑したがメールを開けた。ファイルが添付されていて自動再生される。

暗い教室(音楽室?)に何人かの人影が写り、同時に声が流れた。
『バレちゃったぁ? おかしいなぁ、絶対に騙せると思ったんだけど。まあいいや。そこまで来たらちゃんとこっちに来るよね?』
皆は椅子に座ったまま俯いて、ピクリともしない。腰と足が椅子に括られているお蔭で、倒れる事はない状態だった。腕は解放されていて、皆ダラリと垂らしている。
その腕を、“アイツ”は振り子のように弄んだ。
『ミンナ熟睡中で動かないけど、6人ともちゃんと生きてるよ。もう来てないのナッちんだけなんだよね。あと15分で来ないと一人ずつ殺しちゃおうかなぁー。友達が死んだら、ナッちんのせいだからね』

そこで映像は終了した。
奈都にもう迷いはなかった。
加菜恵に助けを求められた時、急いで学校に来た。その時点で奈都の答えは出ていた。
と、この映像ではっきり分かった。
「待ってて、みんな」
奈都は再び車を走らせ、名流小学校に向かった。

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