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ミンナ生カシテアゲル
その他リレー小説 - ホラー

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ミンナ生カシテアゲル 7

その時、俺の携帯がなった。
携帯を見ると、非通知だった。

不審に思いながらも、
「もしもし、どなたですか?」
「カカシ君覚えてる」
この声変わり前のような甲高い声…あいつだ。
「カカシ君、来てくれたみたいだね。君に見せたいものがあるんだ。3Cに来てよ」
僕が何かを言う前にあいつは電話を切ってしまった。
怖いが行ってみるしかない。
僕は足音を立てぬよう、そろりそろりと3Dから3Cの教室に移動する。

3Cは暗いままで人の気配を感じない。
「あっ!」
僕は何かに躓いて倒れてしまった。
ん?この感触…まさか!
僕は携帯電話のライトを照らした。
「うわっ!」
僕の足下に口から血を吐いた大人の男性が倒れていた。
これは…?
♪〜
その時、携帯が鳴った。
「カカシ君、分かってくれたかな?さあ、ゲームの始まりだよ。第1の犠牲者は琢也君、次は誰かな?ハハハハッ!」
高笑いするあいつの声に、僕はすぐさま携帯を切った。

反射的に辺りを見回した。
だが教室のカーテンがすべて締めてあったため、室内は限りなく暗い。アイツが机の影にでも隠れられていたら気付く事は出来ない。
考えるだけで、呼吸が荒くなっていく。

……いや、待てよ。
電話がかかってくるタイミングから考えて、必ずこっちを確認していると思ったが、よく考えてみれば電話越しの声しか聞こえなかった。つまり、そこまで近くに居ないのではないか?

自分でも意外なほど冷静さが残っていると感じた。暗かったおかげで、はっきりと死体を見なくてすんだのがよかったのかもしれない。
僕は再度、携帯のライトを点けた。弱々しい光だったが、それだけでだいぶ落ち着く。念のため気配を探るように室内をじっくり見回してみたが、やはり誰もいそうになかった。
もう一度目の前に横たわる男に目をやった。
男はうつ伏せの状態で口から血を吐き、目は一点を見つめたまま微動だにしない。顔は蒼白だった。よくみると腹部の周りにはジワリと血痕が溜まっていた。

撃たれた……のか?

そう頭によぎった瞬間、17年前の教室が鮮明に投影された。
教室を染めていく赤、重なる悲鳴、泣き声、恐怖、止まない銃声、硝煙と鮮血の臭い、呻き声。絶望。
ニヤついて出て行ったアイツ。残された7人のクラスメイト。
そして教室の後ろの隅で、声を殺してうずくまっていた琢也……。

「本当にこいつが、あの弱虫琢也なのか?」
僕は無意識のうちに、声に出していた。

この17年間、生き残った皆を忘れる事はなかった。時が経ち、記憶がおぼろ気になったせいもあると思うが、目の前の男に琢也の面影は感じられなかった。

昔の琢也は、クラスで一番背が小さくて、いつも誰かの後を付いて回るような、頼りない感じの子供だった。だが目の前の男は、スポーツマンを思わせるようなガッチリした体格の男だった。

考えても仕方がない。どちらにしても、こんな屈強なヤツでも殺されるんだ。早くここから出なければ、次は自分が殺される。

僕は気配を殺すようにゆっくりと立ち上がって教室を出た。
廊下は月明かりである程度は見通すことができた。携帯のライトを付けたままだと、相手に居場所を教える様なものなので消すことにした。

そしてそれを強く握りしめて、2階に降りる階段を目指した。

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