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ミンナ生カシテアゲル
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ミンナ生カシテアゲル 6




名流町の隣町に越していた弥生(ヤヨイ)は、送られてきた葉書を見て恐怖した。
なぜ今になって?  『あいつ』は今ごろになって何がしたいの?
そう考えているうちに、一つの噂を思い出した。
それは偶然近所の大型スーパーで耳にした、名流小学校旧校舎の取り壊しの話である。
旧校舎と言えば、事件があった場所であり、葉書に書かれた集合場所。
この噂が本当なら、取り壊しの前に、アイツはまた殺人を犯そうとしているのかしら。
弥生の頭には、その考えだけが鮮明に浮かび消えることがなかった。

…そして11月18日の夜、僕は名流小学校の校門に来ていた。
来たくなかったのに、何故か行かなければならないような気がしてやってきてしまったのだ。
周囲には僕以外誰もいない。
僕たちの使っていた校舎は、今は老朽化によって使われていないそうだ。
普通なら感慨に耽るのかもしれないが、僕の場合はそうはならなかった。
ここは楽しい学校生活を過ごした場所ではなく、殺戮があった場所としか思えないからだ。
なぜ来たんだろう……。
僕は旧校舎を見上げて自問した。
過去に決別するきっかけが欲しかった?
漠然とそんな回答が浮かんできたが、果たしてここに来たからと行って決別できるかは疑問だった。
やっぱり帰ろう。ここには来るべきじゃなかったんだ……。
そう思って旧3年C組の教室に目を向けた時、何かが動くのが見えた。
まさか、誰かいるのか。
ジッと目を凝らして見ると、旧3Cの窓だけが空いていて、そこからカーテンが靡いている。さらに仄かな灯りが見えた。
しかし校門からではよく見えないので、外周を通って裏側にまわる。
旧3Cの教室は3階部分にあり、人が居るかは確認できなかったが、3階の廊下を通して漏れている灯りは確実に旧3Cからのものだった。
アイツがいるのか。それとも同級生か?……。
一気に不安が蘇ってくる。同時に誰が居るのかを突き止めなければならないという衝動にかられた。
塀を登って侵入しようかと考えたが、その考えはすぐ消えた。名流小学校の塀は2mを越える高さのコンクリート塀で、さらに、鉄条網が塀の上に設置してあるのだ。あの事件の時、犯人は塀をよじ登って侵入したという話は僕も聞いた憶えがあったので、その後鉄条網を取り付けたのだろう。
僕はすぐ近くの通用門に向かった。通用口は昔のままの鉄柵扉で、鍵は掛かってなかった。校門には大きな南京錠が掛かっていたのに、こっちは無防備に開いている。
誘い込もうとしているのは明らかだ。アイツは本当に3Cの同窓会を、あの教室で開こうとしている。
帰るなら今のうちだ。と頭をよぎる。
同時に嫌な予感は大きくなる。しかし、こっそり入れば見つかる事はないと高をくくり、夜の学校に入る事にした。


校内は静寂に包まれており、じめっとした湿っぽさを感じる。
月明かりだけが漆黒の校内を照らしていた。
足音を立てぬよう、階段を上がり、3階に辿り着く。
ここまで人の気配はない。
旧3Cのクラスに近付いてみると、先程の灯りは消えていた。そっと中を覗いて見るが、誰もいないようだ。

コツコツ…
その時、下の階から足音が聞こえてきた。
僕はゾッとした。まさかあいつなのか?
僕は隣の旧3Dのクラスに入り、教卓の下に身を潜めた。
3階まで上がった足音は廊下を歩き出す。
僕が教卓の横から廊下を覗くと、スッと黒い影が通った。そしてその足音は消えた。

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