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ミンナ生カシテアゲル
その他リレー小説 - ホラー

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ミンナ生カシテアゲル 5

「(奈都にもこの手紙届いてるのかしら?)」
記憶の隅に追いやっていたあいつからの手紙。そしてあいつから誘いの電話。もう気にせずにはいられない。加菜恵は奈都に電話してみた。
……
出ない。出掛けてるのだろうか…?まさか、既にあいつに!?いや、それは考え過ぎ。そんなことはない。そう言い聞かせて加菜恵は電話を切った。

奈都から電話がかかってきたのは、しばらくしてからだった。それまで奈都の事を気にかけていた加菜恵は胸を撫で下ろした。
『久しぶりね、加菜恵』
奈都の声は落ち着いていた。
「久しぶりだね。ナッちん」
それだけ言うと二人はしばらく沈黙した。お互いこの電話の意味が分かっていた。
「あのね。あの事件の事なんだけど……」
思いきって加菜恵が切り出す。
『加菜恵にも連絡があったんだ』
さも当たり前のように奈都が言った。
「同窓会のお知らせって葉書が…。電話まで掛かってきて、どうしたらいいか分からなくてナッちんに電話したの。他の人の連絡先とか分からないし」
『ふーん。で、加菜恵はどうすんの? まさか行くつもりじゃないでしょうね?』
「行きたくない。けど皆が殺されたのって、もしかしたら私たちのせいなんじゃ……」
『冗談はやめてよ!なんで私たちが悪いのよ』
奈都は弱々しい声で笑った。奈都がこの電話で初めて動揺したように、加菜恵は思った。
「だって……。ナッちん憶えてない? 事件のあった日の前日の事」
『……』
「私とナッちんと……あと何人かで、古い本に書いてあった呪いみたいなやつをしたでしょ? その時に名前が挙がらなかった人達が、生き残った7人だったじゃない」
『……そんなの、偶然よ』
「そうかもしれない。でも私、それだけはハッキリ憶えてるの」
『じゃあ、加菜恵はそこにいた私たちが悪いって言うの? くだらない。そんな事でいちいち電話してこないでよ!』
奈都は強い口調で加菜恵を征し、電話を切った。





あいつからの電話を切った琢也(タクヤ)を武者震いにも似た興奮が襲っていた。
今こそ人生を狂わせたあいつに復讐する時ではないだろうか。
あいつは事件から丁度17年目にあたる11月18日に、皆に会いたいと言っているのだ。これは過去を清算する絶好の機会ではないだろうか。

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