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ミンナ生カシテアゲル
その他リレー小説 - ホラー

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ミンナ生カシテアゲル 15

ふざけるのはよそう、私は今の文章を削除、何かの役に立たないかとスマホのメモ等に記録を残す。

アイツはゲームとやらの大まかな説明をしていった。
私と彼、マコっちゃん他何名かは救出待ちサイドに含まれているそうだ。

そうした事情となるべく無抵抗で捕まった見返り、一応の飲食物提供とスマホ返却。
ノートパソコンを含む手荷物を納めた鞄も近くにある。
飲食物に手をつけるのは、垂れ流しでの救出か最後の晩餐を覚悟した時にしよう。

こうして使っているスマホ、警察消防救急等を含めた外部へのアクセスは不可。
ネットでの調べ物等は可能だがメッセージを残そうとするとエラーになった。

ここに来ている事件の生存者七人で連絡のつく二人、マコっちゃんと琢也には繋がるみたいだが、返信できない状況らしい。

現在アイツの使い魔的な何かも徘徊してるそうだ。

当初カカシ君だと騙された死体、ゾンビになるのか。

ありえる。

窓に張り付いて移動する、珍しい鳥みたいな鳴き声を出す黒い塊も目撃した。

あとアイツが壊れた机の金具で手を切った時、矯正視力1.0の私が暗所でもわかる切り傷は一瞬で塞がった。

色々と、ありえる。

がらがらがら

戸が開いた、さて『どっち』だ?

逆光の人影は両手に凶器の様な物を持っている。

小腹が空いたからそれ(ポテチとコーラ)よこせ、という雰囲気ではない。

ざんねん、わたしのぼうけんは、おわってしまった。

『保存』



「ナッちん、ごめん。」

あの電話、少し落ち着いて話せば、別の解決策は幾らでもあったと後悔している。

せめて一言謝らせてよ。

目が覚めた時、携帯を含む私の荷物が枕元にあった。
アイツが置いていったみたいだけれど電波状況が悪くてメール送信さえ出来ない密室。

お手製で引いてきたらしい電気と水道。
簡易ベッド備えられた非常用袋と飲食物。
アウトドア用らしい、紙箱と袋を組み合わせた簡易トイレもあるから、臭いと恥ずかしいのを我慢すれば、そういうのも何とかなるみたい。

ドアノブのない鉄の扉と天井の小さな換気扇、まるで刑務所。

ちょっと頭のいい人ならここにある物を使って脱出とか考えるんだろうけど、私には無理だよ。

私バカだもん。

ちょっと難しい事があると何でもかんでもナッちん任せで、

今回はとうとう怒らせちゃった。

ああそうか、私って頭悪すぎて悪い子だから、牢屋にいれられちゃったんだ。

「あはははははははははは。」



私はさっき空にした缶を灰皿がわりに。メンソールをもみ消す。
そして良く冷えたビールを一口あおる。
キッチンナイフで刻んで荒塩をふったサラミを噛み砕き、おっかけまた一口あおる。

テレビこそ使えないが、電気ガス水道の整った当直室。
小型の冷蔵庫やストーブその他は本来の住人が持ち込んだ物。
買い置きの飲食物と煙草はどことなしオッサン臭かった。

アイツは『いい子にしててね、桜ちゃん?』などと宣った。

壊れて板張りされた窓、アレな趣味の首輪と鎖がなければ更に快適だろう。
鎖はギリギリでトイレまでは行ける、玄関には届かない長さ、何か知恵をこらせば脱出は可能。

アイツは私が傍観者でいる事を前提にしているのだろう。

十七年前と同じく。



僕が傷口をタオルで押さえていた所、保健室のドアがノックされた。

「赤城、赤城奈都です、えーと…か…か…。」
「カカシでも加賀真吾でもいいよ。」

赤城奈都、通称ナッちん、色々と律儀な性格だがどこか抜けている女子、だったと記憶する。

僕の本名が思い出せない、かと言って(一騒動あった)ニックネームで呼ぶのは気が引けた、そんな所だろうか。

「入るといい、ここは一応の安全地帯、だそうだ。」
「うんわかった、けどちょっと…服が…ね。」
「着替えを見つけた、それと僕は妻を持つ身として配慮はする、信じて欲しい。」



「ごぶさた、赤城さん。」
「こちらこそごぶさた、カカシ君。」

カカシは臭いで奈都が着替えたい理由を察し、彼女の距離感を理解しながら接した。

忘れ物らしい衣服の山と乾いたタオル、洗面器と濡れタオルを受け取った奈都がパーテーションの向こうにそそくさと消えた。

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