ミンナ生カシテアゲル 14
カカシ君の一件だって私一人の手柄みたいに飾ってるし。
加菜恵だって無理して私に合わせてただけかもしれないのに。
私本当は迷惑な子だった。
違う、きっと今でも…。
そうだ私がこんなんじゃなきゃ、せめて加菜恵と一緒に相談しながら…。
「…という訳だから保健室のカカシ君と合流してね。」
私が鬱々と自己嫌悪と自己批判のループに陥ってる間もアイツはマイペース、気持ち悪い。
「詳しいルールはそんくらいの時間にメールで…。」
何がしたいのかわからない殺人鬼の狂ったゲーム、友達同士の約束でも取りつける様な口調。
私は悪魔の契約がごとき挑発に乗ってしまった後悔と、不気味で不可解な緊張感で、泣きたく…。
がごぉん!がごぉん!ばきぃん!ばたぁん!どさどさ!
…って何今の?下から聞こえたけど?
「コンテナの扉サビてたか、本当に悪運の強い奴だな。」
…アイツが去り際、またダストシュートを覗き込む。
呟いた内容からして、さっきの人は脱出成功したらしい。
……。
気が付くと私は一人だった。
取りあえず放り出したバッグや小物を拾い集める。
今は吐き気も震えも涙も止まっていた
あの馬鹿っぽいチビから元気を分けてもらった気がした。
※
「馬鹿にすんな。」
俺はどうにかコンテナを壊して脱出した。
ダストシュートの途中で何度も引っかかって減速、コンテナの中身はプリントや書類のシュレッダー屑。
色々重なった悪運。
そしてガキの頃から質素で地味な食事のお陰で、タッパはないが頑丈に育っていた。
また生き延びた。
『何で他の子が死んでお前は生きてるの?』
事件直後の転校初日、そんな軽口を叩いた馬鹿相手と生まれて初めての喧嘩。
人生観は変わったが、根本的には一緒。
中学高校でも、自衛隊に入隊してからも、クビになって派遣でボチボチやってる今も。
何かと肝心な所でツキがないか、チャンスの時に限ってビビる。
そして底辺。まるでこのゴミ捨て場な訳だが、何故か俺の荷物が置いてあった。
嫌がらせみたいな配置だが荷物自体は無事、簡単な武器とキャンプ用品、あとバイク用の半帽(ヘルメット)。
財布や携帯に煙草といったポケットの小物も無事、怪我も軽傷。
問題なのはマコっちゃんだ、あのお人好しめ、来るなと釘を刺したのに何で来た?
「馬鹿にすんな。」
※
「押すなよ!押すなよ!絶対押すなよ?」
「大丈夫!マコっちゃん芸人属性だし!」
大丈夫じゃねぇよ、琢也の言う通り来なけりゃ良かった。
中学で再会した琢也は別人だったが、性根は臆病な奴だ。
ほっとけなかった。
弥生にも『絶対来るな』と電話したが大丈夫だろうか?
マブダチとカノジョには悪いけど、俺はそれどころじゃない。
アイツに拳銃で脅され全裸にされて手足縛られ、飛び込まないと撃たれるって現状
面白デブを自負する俺だが、薬剤師の資格持ちで多少なり医学知識がある。
今の状態で11月の夜中でそれなりに冷えたプールに飛び込めばどうなるか?
心臓麻痺か凍死か、それとも小学校のプールで溺死か。
そうした死亡事故があり得る状況。
アイツは
押しやがった
「殺す気かぁあああああ!?」
※
「ゆっくりしていってね。」
自重しない第一村人、アイツはそう言って教室を出て行った。
という訳で皆さまこんばんわ!藤吉弥生のゆっくり実況…。
はじまるとおもった?ばかなのしぬの?
駄目だマコっちゃん私には無理。
こんなふざけた状況、彼だったら?もっとふざけて場を和ますだろうな。
殺人鬼に通じるか、わからないけど。
私の方はというと何一つゆっくり出来ない状況で置プレイ!パイプ椅子に手錠で拘束されてる訳ですよ!
右手だけは自由!手を伸ばせば届く位置にポテチ!コーラ!スマホ!
ナイスおもてなし!アイツ気が利くなぁ〜…って、ざけんなし!
こんな廃校の職員室にあったとか賞味期限いつよ?期限内でもこの寒さじゃどっちみち腹下すわよ!最悪放送事故じゃないの!そんな実況動画誰得なのよ!速攻バンされるわ!
ぶぅるぁああああ!
畜生ぉおおおお!
な〜んちゃって?
…………。
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