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悪夢
その他リレー小説 - ホラー

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悪夢 6

「あれ?」
俺は部屋を見回す。さっきまで廊下にいたのに、いつの間にこんなところに?
ギィと音がして、扉が開いた。
俺はさっと身を固くする。あの女性、か?
しかし入ってきたのは、10才くらいの少女だった。当然鎌も持っていない。
「え?君だれ?」
俺は少女に問いかけた。だがなぜか少女は全く返事をしない。それどころか俺のほうを見ようともしない。無視しているというより、見えていないようだ。
俺は唐突に気付いた。
ここは、あの女性の記憶のなかだ。
さらに、同時にあることを思い出す。
これは、あの悪夢の世界でもある。
少女はシンプルなテーブルのイスに腰掛け、その上にあるオルゴールの蓋を開く。儚く優しげな旋律と共に、バレリーナの人形が踊る。窓からの月光が少女とオルゴールを優しく照らす。まるで、童話のような光景だ。壁に掛ったアンティークの時計が真夜中になったことを知らせる。―――ギィィー 

扉を軋ませて、昔の俺が子供部屋に入ってくる。「・・・来たよ。」昔の俺が恐れるように言う。少女は優しく微笑む。「今日も来てくれたのね。これで23回目よ。」雰囲気は冷たい。
「真夜中に100回来てなんて無理だよ!せめて朝にしてよ。」子供の俺は泣きそうだ。「駄目よ。真夜中に100回来たらオルゴールをあげる約束なんだから。」少女は諭すように言う。「・・・・・オレさ、違う方法考えたんだ。」俺は笑いながら言う。「どんな方法かしら?」少女は興味を持ったようだ。

子供の俺は座っている少女の肩に手を置く。「その方法は・・・・・こうさ。」
子供の俺は少女の目を盗み、オルゴールを奪い取った。
「あっ…!」
人の物を奪い取ることがいけないことだとはわかっていた。だが、そのオルゴール、いや、もっと正確にのべるならばその曲には、そんなことをさせるだけの魅力があった。
「待ちなさい!」
当然少女は俺の肩を掴み、引き止めた。
だがそのとき、俺は自分でも信じられない行動にでたのだ。

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