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悪夢
その他リレー小説 - ホラー

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悪夢 5


そして壁に掛ったアンティークの時計の前に、俺に背を向けた綺麗な髪の女性がいる。
「待ってたわ」
俺は腹の底から湧き出るような、言いようのない不安を感じた。
このままでは大変なことになるという、予感。
「あ、あなたは…?」
声が震えているのがわかる。
「私はこの家の主。あなたを待っていたのよ…」

そう言って女性は振り返る。その顔は西洋の人形のように整っている。白い肌に蒼い瞳、黒い髪は腰の辺りまである。「やっと来てくれたのね。」女性は柔らかく微笑む。「・・・・待っていた?」俺は何の事だか解らない。「ええ。そうよ。『約束』したもの。」「約束?」
「………………ええ………………、や…く…そ…く…………………」
謎の女性はひどく緩慢な口調で言った。
ふと気付いた。いつの間にか彼女の手になにかが握られている。
「!!」
それがなんなのかを認識した瞬間、俺は本能的に走り出していた。
とにかく逃げなきゃいけない!理性ではなく、もっと原始的な恐怖が俺に命じていた。
「………約束は……………、守る………も…の…よ………………………」
その手にあったのは、巨大な鎌。

「な・・・なんなんだよ!約束って!」俺は走りながら叫ぶ。女性は鎌を構えたまま、微笑みを浮かべて歩いて追い掛けてくる。「・・・・やっぱり・・忘れているのね・・・私と貴方の・・・『約束』・・・思い出させてあげるわ・・・・」女性は歩みをとめる。それにつられて、俺も走るのをやめる。女性は大鎌でおもいっきり空間を切り裂いた。鎌の軌道に従って眩いばかりの閃光。・・・・・・・・・「・・・ここは・・・」気が付くと俺はあの子供部屋にいた。しかし、古い写真のように全てがセピア色だ。

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