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悪夢
その他リレー小説 - ホラー

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悪夢 9

ぼくは目を覚ました。
子供用のベッドの中で、なんだかとても頭がすっきりしていた。
窓の外を見てびっくりする。まだ真っ暗の夜だった。なんでこんな時間に起きちゃったんだろう。
それにしても、変な夢を見ていた、気がする。
とっても大切なヤクソクを忘れたまま大人になっちゃった夢。
でも、くわしくは覚えていない。目が覚めたとたんに忘れちゃった。
ぼくは、枕元に置いてあるオルゴールを開けた。ぼくの宝物だ。
ぼくが一人で淋しいときは、これを聴くと元気が出る。僕の淋しい気持ちを、閉まっておいてくれる。
ふたを開けると、キレイな音楽といっしょに、バレリーナの女の子がくるくるって回るんだ。

俺はふと、さっきの夢の中でこの女性と話していたような気がした。
……俺?
いま、ぼく、ぼくのこと、「俺」って言った?
…気のせいだよね。「俺」なんて、お父さんみたいな大人の人が使う言葉だ。

ぼくは目をつぶった。こうすると、オルゴールの中の世界に行ける気がする。
オルゴールの中で、女の子が踊っている。とてもキレイだ。
ぼくはなんだかドキドキしてきて、頭の中でその子のバレエが大好きになってしまった。

その女の子に会えるのはボクの頭の中だけ。だからぼくはたくさん眠ることにした。お父さんが遊びに連れて行こうとしても、お母さんがご飯を作ってくれてもぼくは気にしないで眠り続ける。
ぼくの眠る時間が長くなるのに比例して、バレリーナが綺麗になっていった。
ぼくは女の子と踊った。
俺はいつまでも踊った。
いつまでも一緒に踊り続けると、ヤクソクした。
けっして、約束を忘れたりしないと、俺は女の子に誓う。
ぼくたちはいつまでも踊っていた。
テンポのいい、どこかさみしい曲にあわせて…。

   【完】


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