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悪夢
その他リレー小説 - ホラー

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悪夢 4


汽車に揺られながら俺は夢をみた。

―古い洋館

軋む扉 割れたガラス

子供部屋

古いけど趣きがある家具

オルゴールの音色

女の人

館の住人・・・?

―ガタンッ
汽車が大きく揺れた。俺は現実に引き戻される。どうやら着いたようだ。
実家はすでに無い。両親は亡くなり、家はその痕跡すらアスファルトで固められ、駐車場になっている。
タクシーでまっすぐ記憶のなかの廃墟を目指す。もしかしたら、実家同様消えているかもしれない。そんな予感がした。
道は、気味が悪いくらいよく覚えていた。
やがてたどり着く。
町は俺が住んでいた頃より随分発展したというのに、その廃墟はまるで時が流れないかのように昔のままで存在した。
不思議なほど懐かしさがない。思い出なんてものは漂う不穏な空気に飲み込まれてしまうようだ。
…入っちゃダメだ…。
本能的にそう感じた。

俺は廃墟に背を向けた。行くのはよそう。―タンタンタタタン・・・・ 「―!」音楽が聞こえる。廃墟から。紛れもないあのオルゴールの音色だ。廃墟の二階から聞こえてくる。まるで俺を招いているように。俺は意を決して廃墟に向かう。
子供の頃使っていた抜け穴は、さすがに小さすぎる。だがかわりに、重すぎて開けられなかった扉が今なら開けられた。
扉の中は西洋のお城のように、唐突に開けたホールのあるつくりになっていた。
照明が使えない上に、窓が一つも無い室内は、昼間だというのにひどく暗い。実に気味が悪かった。
タン、タンタンタタタン、タンタン…
オルゴールの音が聞こえる。
俺はその音に誘われて二階へ向かった。
階段をのぼる度に音が近付く。階段をのぼりきった俺は廊下の1番奥にある部屋へ向かう。いくつものへやが並ぶなかで、その部屋だけ扉が少し開き光がもれている。オルゴールの旋律。ひときわ大きく響く。―キィィ・・・・ その部屋の扉を開けた俺の目に飛込んで来たのは―「・・・子供部屋・・?」赤い絨毯が床に敷かれている。窓に白いカーテン。シンプルなテーブルには白いテーブルクロス。その上にあのオルゴールがある。部屋の隅には簡素な白いベット。枕と一緒にテディベアが並べてある。

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