PiPi's World 投稿小説

後ろの人
その他リレー小説 - ホラー

の最初へ
 1
 3
の最後へ

後ろの人 3

ベットから飛び起きた。『存在を盗りに来る』ってどういう事?誰が何の為に?でも私は妹の事を少しだけど覚えているし・・・。
妹が知らせてくれたって事は上手くやれば盗られないって事かしら?
妹の、あの子の存在は、消えた?
私は確かにあの子を知っている。だけどそれはあの子の姿を再び見たからであって、それがなければあの子の存在を思い出すこともなかっただろう。
記憶にすら存在しない、妹。

    「あいつらが、存在を」

『存在』が消える、って、こういうこと?

そもそも、人の『存在』を盗むなんてどうやるんだろう。もう私の頭は疑問だらけ。いくら考えても答えは出ない。だだ悪戯に時間だけが過ぎていった。
・・・・・・・・・・・次の日の朝 結局、一晩中考え続けた私が得たものは、山積みの疑問だけ。もうじき会社に行く時間だ。顔を洗う為に洗面所に行く。ふと気付くと、鏡に妹が写っている。
もう来ないと思ったのに…。
妹がなにか言った。
俯いているため表情はわからないが、なんだか切迫しているのがわかる。

  「…!」

「え?」
妹の言葉は、小さすぎて聞き取れなかった。慌てて妹(鏡)に顔を近付ける。

  「…て!」

「な、なに!?」
かすかに聞こえた声は、とても焦っているように聞こえた。なにか重大なことを伝えようとしている。
私はさらに顔を前によせた。

  「逃げてっ!」

その瞬間、鏡の中から
かき消されるように妹が消えた。鏡の中で黒い風が渦を巻き始める。にげなきゃ。速く、何処でもいいから遠くへ。私は洗面所から飛び出る。そのまま廊下にある通勤用の鞄から財布と携帯だけ取り出す。洗面所から鏡の割れる音がした。続いて何か重い物が床に落ちる音。洗面所の扉がゆっくり開いて行く。「―っ!」もう限界だ。これ以上は何も見たくない!私は扉から目を離して、コートをはおり鞄から取り出した物をポケットに入れた。―ひたっ 
私の後ろで何かの足音がした。

SNSでこの小説を紹介

ホラーの他のリレー小説

こちらから小説を探す