新・三国志 5
劉備は諸葛亮に護衛として趙雲と関羽の息子、関平を伴わせ、
関平「孔明殿、呉との同盟が成立すれば曹操に勝てるのですね」
諸葛亮「そうは簡単にはいきませんよ。それに・・・」
関平「何か心配事でも」
孫権が出兵したのはおそらく父、孫堅の仇を討つだけでなく、荊州を我が物とし、
最終的には益州をも手に入れんがためだろう。
それなら曹操を打ち破った後、呉との戦いは避けられない筈だと諸葛亮は感じていた。
呉へ着くと、
周瑜「張公、むしろ曹操を討つ事が漢朝への忠誠になるとかと」
張昭「・・・」
張昭とは孫権の兄、孫策から孫権の補佐を任された長老格で、皆から敬意を込めて張公と呼ばれているが、
魯粛「(全く漢朝、漢朝って滅んでいく王朝に忠義など不要ではないのか)」
魯粛は漢帝国の命運はこれまでと考えているので、周瑜と張昭のやり取りが滑稽にしか見えないのだが、
孫権「諸葛先生に伺いたいのだが」
諸葛亮「はい」
諸葛亮が孫権の城から戻って来ると、
関平「孔明殿。同盟は結べそうですか」
諸葛亮「同盟は結べたが、曹操との戦に勝ち、さらに勝った後どうするかが大事だ」
趙雲「何やら浮かない顔をなさっていたのはそういう訳でしたか」
ふと外の方で、何やら声がし、
趙雲「何事でしょう」
諸葛亮「あの声は・・・」
声の主はホウ統、字は子元。
諸葛亮とは学友にして、諸葛亮の姉とホウ統の従兄弟が結婚した事から縁戚という間柄でもある。
諸葛亮「子元、そなたどうしてここに・・・」
ホウ統「子敬殿の客分として色々世話になっているのだが、客分の身ではする事が無くてな」
ホウ統「孔明、何やら考え込んでいるようだが」
諸葛亮「じ、実はな・・・」
ホウ統「何なら知恵を貸してやろうか」
曹操との戦は曹軍の間で疫病が流行していたところ、劉軍と孫軍による挟み撃ちで、
夏候惇、夏侯淵、于禁などといった武将を戦死し、
曹操は張遼や李典などの奮闘により辛くも脱出し、
曹操「奉孝が生きておれば」
奉孝とは郭嘉の字であるが、荊州へ出兵する前に亡くなり、
曹操「奉孝達のためにもこのまま引き下がるつもりは無い」
一方、劉軍の陣営では、
劉備「孔明に子元、よくやってくれた」
諸葛亮「いえ、関将軍達の奮闘あっての勝利でございます」
張飛「これで曹操もお終いだな」
劉備「いや、奴は戦で負ける度に却って力を着けてきたから油断しない方が良い」
徐庶「子元、元気そうで何よりだ」
諸葛亮だけでなく徐庶もホウ統が荊州に戻って来て嬉しく思っており、
ホウ統「殿は学が無いが、あの鬚殿が慕うのも分かる気がするな」
徐庶「鬚殿って関将軍の事か」
すると張飛と簡雍がやって来て、
張飛「長兄は若い頃は盧植って偉い先生の弟子入れした筈だが」
簡雍「でも、勉学よりも遊び事に夢中だったらしいぞ」