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架空戦国物語
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架空戦国物語 3

しばらくすると、連れていかれた男の代わりに、鎧を着た別の男がやってきた。
「代わりはいくらでもおるのじゃ、言葉には気をつ・け・よ、くっくっく…」
義元は御輿に入ると、扇子を広げ近くの者に行軍を止めるよう伝えた。
義元のやり方に皆顔を真っ青にしたが、そんな中、一人顔色を変えず、義元に疑問を感じていた者がいた。
「殿は何を考えておられるのだ…」
「元康様、今はまだ堪えるのみです」
今川軍の前に、馬に乗った二人の人物がいた。一人は松平元康(徳川家康)、もう一人は本多忠勝という者だった。
元康は少々太り気味で、頭がきれた。今川からはタヌキと呼ばれている。
忠勝はその武に勝る者がいないといわれる程の勇猛で、今までの戦で傷ついた事がない。
「忠勝か…、分かっておる、今はただ堪えるのみ…」
「私が必ずや元康様を…」
「すまぬ、皆には苦労をかける…」
二人が話をしていると、どこからか叫び声が聞こえてきた。
「敵だぁ敵だぁ!!ぐわぁ!!」
「元康様、ここにいてくだされ」
忠勝が叫び声がする方へ走った。槍をしっかりと握り、敵がいれば一突きで倒していく。
「松平元康の配下武将、本多忠勝!!腰抜けの卑怯者よ、わしと勝負せよ!!」
奇襲をかけてきた敵への呼び掛けは、返って来る可能性が低かった、しかし…
「ほう、お前があの本多忠勝か!!どれ、わしと手合わせ願う」
「可成殿か…」
忠勝の前に現れたのは、織田軍の武将、森可成(もりよしなり)だった。織田軍の主要武将の一人である。
「殿はそなたらに情けをかけるが、ここは戦場…、わしは勝つ気でいかせてもらう!!」
可成は剣を握り、忠勝に向けて馬を走らせる。忠勝は可成の剣を槍で弾こうとするが、逆に弾かれてしまう。
「本多忠勝、討ち取ったり!!」
「まだだ!!」
忠勝は自分の槍を投げると、腰につけた短刀を抜き、可成が振り下ろした剣をそれで弾き返した。
「ふはははは、さすが忠勝殿!一筋縄ではいきませんな」
「笑止、その程度では某(それがし)は倒せませんぞ」
忠勝は短刀を腰に戻すと、地面に刺さった槍を抜き、それを可成に向けた。
「今川義元、大将首討ち取ったり!!」
忠勝と可成が対峙していると、どこかで誰かがそう叫んだ。

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