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逆説・日本史
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逆説・日本史 2

「我らが司令長官(海軍大将)の案らしい」
「流石だな、これでアメリカもたじろいだろうな」
「ああ、これで奴らは暫く太平洋上で何も出来ん。めでたいな、ハッハッハッ」
島田は大いに笑った。
「でも、まだ安心は出来ないだろ?」
「小林は相変わらず慎重だな、確かにそうだが、そのために俺達がこうして動いているわけじゃないか」
「…そうだな」
「心配すんな、日本は神の国なんだから負けん」
島田は小林の肩をポンと叩いた。

この穏やかな碧海も何れは騒がしくなるだろう。
つかの間の平和を縫って小林達を乗せた輸送船はサイパンへ向かった。

…そして、長い航海を終え、目的地サイパン島に辿り着いた。
このサイパンは日本の委任統治領なので勿論敵はいない。
「あーやっと着いたぁー」
島田が伸びをした。

「はぁ〜ぁ」
小林は欠伸をした。
輸送船が岸に着き、兵員が降りだした。
それを遠くから眺める男。銃口で狙いを定める。
パン
上陸を試みた兵員の一人が撃たれた。
「うっ!」
撃たれた兵員は膝をついた。
「な、なんだ?」
戸惑う兵士達。
「あれだ!あいつを捕えろ!」
上官の声で兵士が男を追い掛ける。
「止まれ!撃つぞ!」
「……」
「チッ」
兵士は銃を発砲した。
パン
弾が肩にヒットした。撃たれた男はその衝撃で倒れた。
「はあ、はあ、貴様」
追い付き顔を見ると、日本人の格好をしたアメリカ人だった。

「これは我が軍の三八式だな、どこで手に入れた?」
『三八式歩兵銃』、明治38年に採用された大日本帝国軍の主力小銃である。ボルトアクション式の5連発、口径6.5mm、日本人の体格に合わない長銃身、男が持っていたのがそれだった。

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