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逆説・日本史
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逆説・日本史 1

時は1941年。日本は日中戦争の膠着状態を打開するため、アメリカに仲裁を頼んだ。しかし、その一方で日本が歩みを止めなかったので、アメリカは石油の禁輸を断行した。これで日本の戦艦や戦闘機が動けなくなるのは時間の問題となった。刻々とその時が近付いていた。
日本の指導者らはアメリカに勝てる訳ないのだから戦争だけは避けねばならんと主張した。しかし、軍は待てばこちらの戦力が下がるだけ。戦える内に戦うしかないと主張した。その後、日米間の交渉が進まなかったため、遂に日本は対米戦を決意した。
「この度アメリカと戦うこととなったが勝機はあるのか?」
首相は尋ねた。
「アメリカに勝つことは無理です。粘って停戦に持ち込むしかないでしょう」
海軍大将はキッパリ言った。
「ならばどういう戦いをするのか?」
「戦線を拡げず、絶対国防圏(サイパン島)を守ることに全力を尽くすのです」

「なるほど」
「サイパンを守れば本土が空爆される恐れはありませんし、軍を集束させれば米軍を撃退することも可能です」
「分かった、お前に任せよう」
そして開戦のときが来た。

ザザザ…
小林は輸送船の甲板から遠くを見つめていた。
「よっ、小林」
小林の肩を叩いたのは親友の島田だった。入隊して一年程たった二人は軍の意向でサイパンに向かうことになった。
「おう、どうした?」
「聞いたか?日本の航空部隊がハワイのアメリカ海軍の船を全滅させたらしいぞ」
「らしいな、随分と思い切ったことをしたよな」

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