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魔皇帝伝説
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魔皇帝伝説 9

支配者……。いち傭兵でしかないグラウドは考えた事もなかった。ただ、人間の短い人生で最強の戦士になる事だけを考えていた。しかし、今の自分は不老不死で最強の力も手にし、目指す目標をなくしてしまった。……エンドの支配者になりローグス教国と戦う………面白い!!身体の奥から、いわく言い難い「奮え」が生まれ、感動へと昇華していった。
グラウドの表情が、消えることのない「笑み」を刻んでいく……。 
 
翌日―
グラウドとレインは、闇の森を出て領主の住む城へむかった。
 
グラウドとレインは、目的地である地方領主グール侯の住むロイアの町に到着した。
無法の国エンドの南に位置するこの町は、周りを山々に囲まれていた。
山々に囲まれた盆地。その中央にそびえ立つ山の上に、グール侯の城があった。
警備の兵隊たちにレインを連れて来た事を伝えると、ゆっくりと門の扉が開かれていった。
グラウドとレインは城に入って行く。レインを見た警備兵たちはその美しさに見惚れているようだ。
二人を出迎えた兵隊たちも呆然とし、レインに見惚れた。
二人は接見の間に通される。
高い天井。壮麗な雰囲気。見事に装飾された窓がいくつもあり、そこから光が差しこんでくる。
グール侯は部屋の奥にある壇上、立派な椅子に座っていた。
その両脇には、ずらりと近衛騎士が微動だにせず並んで立っている。
「グラウド!?」
と、叫び声がする。
そこには、シイナ、ジェス、キッドの三人の姿があった。
三人はグラウドに歩み寄ると、「無事で良かった」と喜びあう。
シイナは喜びのあまり、グラウドに抱きついて頬にキスまでしてくる。
「―!?」
レインは無言で二人を引き剥がす。シイナを見つめるレインの眼差しは、果てしなく冷たかった。
(なっなに……?)
敵意に満ちた視線を向けられ、シイナは驚愕した。同時に、同じ女としてレインの想いに気付く。
「この女ったらし」
シイナは叫ぶと同時に、回し蹴りをグラウドに放った。
鞭のように鋭い蹴りが、鎧に覆われていない左太股に命中する。
「痛っ!!」
だが、そう叫んだのは、シイナのほうだった。
鋼鉄のように鍛えぬかれたグラウドの強靱な肉体は何ともない。
可愛い顔を苦痛で歪めながら、シイナは足を抱えうずくまる。
「大丈夫か?」
と、グラウドは心配そうに言う。
どうやら、シイナ達三人は闇の森から帰らないグラウドを助ける為に領主の力を借りにきたらしい。

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