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魔皇帝伝説
その他リレー小説 - 戦争

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魔皇帝伝説 30

「ふっ……我などローグス教国にとって捨て駒の一つにすぎんよ」
グラウドの言葉に、ゼロスはさも可笑しそうに、声を立てて笑った。

ひととうり笑い終わると、ゼロスは再び口を開く。
「……我の話しは終りだ。止めをさしてくれ…あの世で貴様の悪あがきを見させてもらうとしよう」
目を閉じてゼロスは最後の時を待った。
「…ああ、悪あがきをさせてもらうよ。…さらばだ剣士ゼロス!」
大剣がゼロスの胸を貫く。 

胸を貫かれたゼロスの体は、まるで砂山が崩れるようにボロボロと崩れ……。
 
――後には灰の山だけが残った。
 
グラウドが周囲に目を向けると、あれほどいた亡者の騎馬達もゼロス同様に灰の山だけを残し姿を消している。
「……お見事ですグラウド様」
グラウドが振り向くと、そこには苦しげな表情のセリアが立っていた。

気力を使い果たしたセリアは、体勢を崩すと、グラウドの胸に倒れこむように身を預けた。
グラウドの力強い腕がセリアを抱きとめる。
「……無理をさせたな」
気遣うようなグラウドの声にセリアは、かすかに首を横に振って答えた。
(………限界だな)
グラウドは、セリアの状態を見て少なくとも、この戦の間は魔法を使えないと判断する。精霊王の召喚とはそれほど魔力と精神力を必要とするのだ。

「カイザー!」
吠えるように叫ぶと、グラウドはセリアを抱き上げる。
すると―
背後から、待っていたとばかりに馬蹄の鳴動を響かせながら黒毛の巨馬が現れた。
グラウドは、自分の愛馬である黒毛の巨馬の背にセリアを乗せると、自分も跨り手綱を握った。
「…勝ったな」
「…はい」
周囲を見つめながらグラウドが呟くと、セリアが答えた。
事実、亡者の騎馬による被害は大きいとはいえ戦力差は、いまだ圧倒的にエンド軍の方が上である。亡者の騎馬が消滅したいじょう、正面対決でのエンド軍の勝利は確実と言えた…。
 
だが―
 


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