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魔皇帝伝説
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魔皇帝伝説 1

クロス大陸として知られる大陸がある。
その大陸は、剣と魔法と信仰の力によって新しい王国を次々と興し、あるいは滅んでいった。
そして、この数百年のあいだは、いくつかの王国の支配によってクロス大陸は落ち着いている。ここ、闇と自由の神ルーズを主神とする『無法の国エンド』もその国のひとつだ。
「乾杯!」
祝福の声が響いて、酒杯が三つ、高々と掲げられた。
「久しぶりだな」
長身で体格も立派な一人の青年が、三人の祝福に応えて酒杯を上げると、一気に赤色の酒を飲みほした。
「お前は、あいかわらずだな」
青年の右隣に座っている男が、呆れた口調で言った。
「この体格だ、いくらでも一気に飲みほせるさ」
「本当!本当!」
別の男が、感心した口調で言い。それに、テーブルを囲む四人のなかで唯一の女性が、隣に座る巨漢を横目で見ながら同意する。
「オレにだって限界はあるさ」
そう答えながらも、青年は次々と酒杯を空にしていき、笑みを浮かべる。
青年の名前は、グラウド。
今年で、二十五歳になる。エンド最強の傭兵と呼ばれる男だ。
「それで、どんな仕事だ?」
黒髪に茶色の瞳。適度にととのった顔。どこか野生の獣を感じさせる雰囲気をもつグラウドは尋ねる。
三人は目配せ、唯一の女性であるシイナが、答える。
「……千年魔女レインって知ってる?」
「千年魔女だと……」シイナの言葉に、グラウドは応じる。
「たしか闇の森に住んでいるっていう、千年以上生きてる、不老不死の魔術師だよな?」グラウドは少し考え、確認のために聞く。
「ええ、その千年魔女レインを捕らえて、領主のところまでつれて行くっていうのが、今回の仕事なの」
シイナは、肩をすくめながら答えた。
「殺す…ではなく、捕らえるんだな?」
グラウドが確認すると、テーブルを囲んでいる残り二人の男、ジェスとキッドが話しだす。
「なんでも、千年魔女レインは凄い美女らしくてな、領主のヤロー一目惚れして求婚したが振られたらしい…」「それで、捕まえて無理矢理自分のものにする事にしたらしい」
二人の話を聞き、グラウドがあきれたという顔をする。
「報酬が凄い金額なのよ〜」
盗賊のシイナが、同じ女性にたいするとは思えない言葉を言う。グラウドたちは、シイナの性格には馴れている為、なにも言わない。「まあ、捕らえるにしろ、捕らえないにしろ、千年魔女には会ってみたいな……」
グラウドがつぶやく。

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