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魔皇帝伝説
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魔皇帝伝説 23

馬はよろめきながらも、主人を落とさぬように踏みとどまるが、頸部から流れ出る大量の流血により、その誇り高き命は最後をむかえる……最後まで主人を落とす事なく立ったまま…。

バークスは愛馬から降りると、最後まで倒れる事なく天に駆けていった愛馬に労いの言葉をかけた。
「至らぬ主人で迷惑をかけたなプロム…。安らかに眠ってくれ、お前の仇は俺が討ってやる!!」
バークスは大剣を強く握りしめると、ゼロスに向かって歩みを進めた。

盾を地面に捨てると、バークスは大剣を両手に持ち、上段に構えた。
「!?」
バークスは一気に間合いを詰めると、気合いの声をあげながら、ゼロスの頭部に大剣を振り落とす。
ゼロスはバークスの大剣によって真っ二つになると見えた。だが、バークスの剣が届く僅か手前で、刀をあげてゼロスは弾き返そうとした。
「甘いわ!!」
バークスは大きく踏み込むと、金属がこすれる不快な音が響き、青白い火花が散り、ゼロスを後方に吹き飛ばした。
「仲間達の魂、想いが籠もった俺の剣!貴様の貧弱な肉体で止めんられはせん!!」
地面に倒れふすゼロスに向かってバークスは、叫んだ。

「……なるほど、邪教徒の中にも骨のある戦士がいるようだな」
ゼロスは立ち上がりながら呟くと。
「我も本気を出さしてもらうとしよう!」
そう言い放った。
すると―
ゼロスの体を黒い霧のような気体が覆っていく…。
「…本気か…!…だが無駄だ、俺の剣は貴様ごときに止められはせん」
バークスは大剣をゼロスに向けながら自信に満ちた笑みを浮かべた。
「…邪教徒如きに見透かされる我が力ではないわ!!」
黒い霧によって完全に覆われたゼロスは、バークスを睨みつけた。

「俺の剣に誓って貴様を倒す…」
大剣を上段に構えると、バークスは再び間合いを詰めようとした。
「それは、この剣の事かな?」

「!!?」

いつの間にか、背後に移動したゼロスの腕には剣が握られいた…いや、剣を握った状態の右腕が握られていた。その腕は肩の部分から切断され、滴る血が地面を濡らしていた。
「我が動き闇の閃光の如し!!!」
「う……うおっ…!ぐおぉおおぉおぉ〜っ!!!!」
右腕を切断されたバークスは、大量の血を流しながら地面に片膝をついた。

「ちょうど良い、さすがに魔力も底をついたのでな、補充させてもらうとしよう…!」
ゼロスはバークスの右腕を高く持ち上げると、流れ落ちてくる大量の血を美味そうに飲みだした。
「…―!?」
苦痛に耐えながら、その光景を見つめるバークスは、ゼロスの口の中に長く鋭い牙を見つけた。
「ば…馬鹿な!ヴァンパイアだと……!?」
驚愕するバークス。

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