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魔皇帝伝説
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魔皇帝伝説 22

バークス達が目の前に迫ると、ゼロスは地面に突き刺した刀を引き抜き、刀を正眼に構えた。
最初に、先頭で馬を駆る鉄剣騎士の一人が、葦毛の馬を躍らせながら長大な槍を、ゼロスに向けて突き出した。
二条の雷光がすれちがった。鉄剣騎士の槍はゼロスの白髪をかすめて宙に流れ、ゼロスの長刀は馬ごと相手の喉を貫いて後頭部から剣先が飛び出ていた。騎士は地上へ転落する。
その時にはすでにゼロスは長刀を引き抜いていた。
太陽の光りに反射して透明の刀身が白く煌めくと、つづく鉄剣騎士の首が、兜ごと、血の尾をひいて宙に飛んだ。

「くっ…止まれ!止まれ!!」
バークスが部下に叫んだ時には、ゼロスによって三人目の騎士を地上へ斬り落とされ、返す刀で四人目を血しぶきとともに鞍上からなぎはらわれていた。
少数で亡者の大軍を突破した精鋭揃いの鉄剣騎士達が、ゼロスの剣技と異常な身体能力にかかっては幼児のごとく無力であった。
「この化物め!!」
バークスの怒りに呼応するように、愛馬が高くいなないた。

怒りに狂うバークスを一瞥すると、ゼロスは再び刀身を地面に突き刺し、呪文を唱える。
すると―
ゼロスによって地上に斬り落とされ、命を落とした四人の鉄剣騎士の亡骸が光りに包まれ消失し……。
バークスの目の前に四体の新たな亡者が召喚された。「きっ…貴様〜!!」
バークスが吠えると、騎手の怒りに呼応するように、馬が高くいななき、まっしぐらに四体の亡者の騎馬めがけて走りよった。

バークスは速度をいささかもゆるめず突進した。
ゼロスの前方で剣光が交錯し、凄まじい刃音がなりわたると、一体の亡者が粉微塵に破壊され大地の一部となった。
「完全に破壊せねば亡者共は動きを止めんからな!暴れさせてもらうぞ!!」
バークスは大剣を水平に閃かせた。斬るというより叩き壊す剣閃であった。
いっけん力まかせの雑な剣技に見えるが、亡者の騎馬を倒すのには最も有効な方法であった。
猛将の名に恥じない激しい剛剣の旋風がやんだとき、残り三体の亡者の騎馬は全て破壊されていた。

「次は貴様の番だ!」
バークスは高らかに叫ぶと剣先をゼロスに向ける。
ゼロスは破壊された四体の亡者の騎馬を一瞥すると、再び地面から刀を引き抜き無造作に前進する。
透明な刀身が、太陽の光りを反射させながら、バークスに襲いかかった。
バークスは、巧みに馬を操りながら、盾をあげてその一撃を受けた。左腕に痺れを感じながら大剣を撃ち込む。強烈な斬撃は、軽業師のように身軽に宙を回転しながらかわされた。
ゼロスの身体能力は、想像を絶した。宙に舞う瞬間、バークスの跨る馬の頸部に斬撃を一閃し、血を飛散させたのだ。

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