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魔皇帝伝説
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魔皇帝伝説 21


「この僅かな時間に此れ程の数の亡者を召喚するなんて、とても人間技ではありません……」
セリアは重々しく言い、グラウドは頷いた。
「『回転式連射弩』により殺されたエンド兵の死骸を媒介にして召喚している様だのう……」
ウスタルは鋭く引き締まった顔に苦笑をたたえながら言いはなった。
「…つまり死骸が増えれば増えるだけ亡者が召喚されるのか」
ウスタルの言葉に、グラウドは重々しく答えた。

「……止める方法は一つしかありません!」
セリアが力強く言うと、グラウドとウスタルは頷き、亡者の剣士ゼロスを強く睨みつけた。

辺り一面を亡者の騎馬隊が埋めるとゼロスの細い右手があがり、振り下ろされると、奇声がふきあがり、亡者の騎馬隊は突撃を開始した。
約八万の騎馬が突撃したのである。馬蹄の轟きは、文字どおり地軸を揺るがすかと思われた。
エンド兵は戦う前から恐怖と敗北感にかられ、殺到する亡者の騎馬隊の槍に、突き殺される人馬の悲鳴が脈打って響いてくる。


「亡者共には構うな、狙うは亡者の剣士【ゼロス】のみ!突撃!!」
エンド東方領に、猛将としてその名を轟かせる鉄剣騎士団・団長『バークス』は戦況を的確に判断し、行動に移した数少ないエンド騎士であった。
前方に広がる敵騎馬隊の包囲網を突破した鉄剣騎士達は、剣をかざし、マントをなびかせながら突進した。後方の亡者の騎馬隊がそれを迎え撃つ。
正面からの激突は数でまさる亡者の騎馬隊が優勢に進める。だが、馬術においても、馬上剣技においても、亡者の騎馬隊は鉄剣騎士の敵ではなかった。
数では劣りながらも、鉄剣騎士達は団長を守るように円陣を組み着実に前進をして行く。

一人また一人と倒れていく部下達の姿を、苦渋の面持ちで見つめながら剣を振るう鉄剣騎士団長バークス。そして、そんなバークスを馬鹿にするかのように命を落とした部下達の肉体は亡者を召喚する媒介に使われ、まるで初めから存在していなかったかのように肉体は光りに包まれ姿を消すのであった。
「奴は目の前だ!突撃!突撃!!」
バークスは現実から逃れるように叫ぶと、目の前に迫るゼロスを目指し突撃を再開したのだった。


やがて、亡者の騎馬隊の包囲を突き破って、バークス率いる少数の鉄剣騎士がゼロスの前面に姿を現した。国の為、仲間の為にゼロスを倒す―と覚悟した彼等が練達の馬術にものをいわせて、亡者の壁を突き破ったのだ。
不思議な事に包囲を突き破ったバークス率いる総勢僅か五名の鉄剣騎士達に追撃を仕掛けて来る亡者は一体としていなかった。
「鉄剣騎士!剣構え!!」ゼロスを目の前にしたバークスは、伴った騎士四名に叫びながら自分の剣先をゼロスに向けると……。
「突撃!!」
バークスはあらん限りの声を張り上げながら突進した。

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