PiPi's World 投稿小説

魔皇帝伝説
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 13
 15
の最後へ

魔皇帝伝説 15

 
 
司令室につながる通路は普段から厳重な警備体勢がしかれている。通路に設けられた円柱の陰に隠れるように立っていた兵士たちが一斉に一歩踏み出し、槍の石突きを床に当てた姿勢で立つ。 ゴー、と重厚な音が響く。
扉が左右に開いた。
最初にあらわれたのは薄い赤色の鎧を身につけ、右手に鞘ごと長剣を握った黒髪の美女と同じ鎧を身につけたダークエルフの美女だった。
二人は辺りに厳しい視線を払いながら通路にでる。 そのあとに現われたのも同じ鎧姿の美女たちであった。
隊長らしい先頭のダークエルフの美女が扉を振り向き、さっと頷く。
扉から現われたのは一人の女性だ。
深紅のローブをまとっており、両腕に純銀の腕輪をしている。憂いをおびた赤い瞳に星空の如く輝く黒髪の美女である。
一団の主人が現われたのはそのあとだった。巨漢の肉体に深紅の鎧をまとい、威厳のある足どりで現われる。
「大袈裟過ぎるんじゃないか……?」
グラウドは周りを囲うように歩く、美人騎士達を見ながら苦笑する。彼女達はレインがこっそりと編成していたグラウドを守るグラウド親衛騎士隊である。「そんな事はありません、エンドはクロス大陸で最も強力な暗殺ギルドのある地です。何時、暗殺者が送られてくるか分かりません」とダークエルフの美女―親衛騎士隊を率いる隊長ロティアが話す。
「それなら…オレよりもローウェン王の警護をするべきだ!」
不満げに言うグラウド。
「勿論…ローウェン王の警護もしております。しかし、一番の標的はグラウド様です。南方軍もローウェン王が正当な戦を仕掛ける為の御飾りの指導者で、真の指導者がグラウド様である事は既につかんでいましょう……。まして、私たちはグラウド様の心意気に感じて集まった集団ですから……もしグラウド様が死んだら、軍は空中分解いたします…」
ロティアの言葉をレインが継いだ。
「グラウド!お前の強さは誰よりも、わたしが知っている…それでも心配なんだ…」
グラウドは小さくうなずいた。
「わかった……。それとレイン。感謝しているよ」
このような時は必ず昔の傭兵時代がいかに自由で楽しかった、と考えてしまう。
むろん現実はグラウドの気持ちなど意に介さず進んでいく……。
 
グラウドが司令室に入ると、室内の全ての者が、グラウドに向かって敬礼をした。
そして、情報処理隊の隊長セリアが微笑して言った。
「お待ちしておりました……グラウド団長」「待たせたなセリア」軽く手を挙げるグラウドにむかってセリアが言った。
「グラウド団長の作戦命令のとうりに戦局は進んでいます……」

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す