PiPi's World 投稿小説

魔皇帝伝説
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 11
 13
の最後へ

魔皇帝伝説 13

グラウドは、レインたちを外に残し部屋に入る。
背後で扉がしまった。グラウドは真っすぐ正面を見つめ、部屋の主を呼んだ。
「失礼する……ローウェン公爵はおられるか。オレは今回の救出作戦の責任者でグラウドと言うものだ」
ゆったりと…周囲を確認する。
部屋の中央に置かれたテーブルには一人の男が腰をおろしていた。「ほう、君が…」
白髪に長い髭の生えたその男がグラウドを見た。
「…それで。グラウド殿は、わたしをどのように利用して…何をするつもりかな?」
幽閉されていたとは思えない、鋭い眼光でグラウドを見つめる。
「ローウェン公爵だな……?」
「これは失礼した……わたしがローウェンで間違いない。それで、先程の質問には答えてもらえるかな?」
ローウェン公爵は、人懐っこい笑顔をグラウドに見せながら聞いてくる。
「いいだろう!まず最初にローウェン公爵には―」
これより三時間、グラウドとローウェン公爵の密談が行なわれた。後の世に云う『運命の三時間』であった。
 
二日後―
モリカ城の広場に民衆が集められる。そこでローウェン公爵、自らの手によるグール侯爵の処刑が起こなわれ。自らが正当な王位継承者であると宣言した。
この宣言は、瞬く間にエンド国内に広がり、ダイガ王の知る事となる。
ダイガ王は直ちに南部の自治を任せている、南方将軍ダクロに偽王ローウェン討伐の命を下す。
 
一月後―
南方将軍ダクロ率いる五万の軍勢がモリカ城を目指して進軍した。
 
南方軍が進軍を開始する二週間前―
ロイアの町にあるモリカ城には、グラウドの呼掛けによりエンド国内中から傭兵が集まって来ていた。
グラウドはロイアの地方騎士と、集まった傭兵達から千人を選抜し、クロス大陸の歴史に例のない新しい形式の騎士団。『冥竜騎士団』を作り上げる。
騎士団長にグラウド。副団長には、魔術師のレインが任された…。第一冥竜騎士隊の隊長にマルス。
第二冥竜騎士隊の隊長にジェス。
第三冥竜騎士隊の隊長にキッド。
冥竜隠密部隊の隊長にシイナ。
冥竜情報処理隊の隊長に、傭兵出身の魔術師セリア。
冥竜報道部隊の隊長も傭兵出身の吟遊詩人シール。
この全ての部隊を、まとめて『冥竜騎士団』と呼んだ。
彼らの身につけている武器・武具はレインによって作られ。一人一人、それぞれの能力に合った機能や魔法が付与されている。
唯一、全ての武具は黒く塗装され、左胸の部分に竜のデザインに無機質な十字架が基調された紋章が刻まれていた。
 
クロス大陸の戦は、鍛えられた戦士を相手より多く揃えて正面から戦って勝利するものだった。
しかし―
冥竜騎士団はグラウドによって、クロス大陸の歴史で初めての、戦術が用いられる。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す