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クロス大陸戦記
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クロス大陸戦記 7

ディオスも、弾き飛ばされた自分の剣を拾うこともせずに剣を握っていた手のひらを見つめていた。
誰も名乗り出ないのを見てとって、アスベルがおもむろに篝火のなかに入っていった。
「隊長、相手をしてもらいますぜ」
アスベルの登場で、静まっていた観客たちがふたたび盛りあがりはじめた。
「不作法なもんで礼儀は無しで始めましょうや」
そう言うと、アスベルは腰を少し落し左腕に皮のベルトで取付けた大型のラウンドシールドを突き出し、片腕ではとても持てそうもない巨大なバトルアックスを右腕だけで軽々と水平に広げるように構えた。
その構えを見て、“カルス”はこの副長の男が恐るべき手練れであることを知った。
“カルス”の全身が先程と同じで瞬間移動したかのように動く、それと同時に激しい金属音と真っ白な火花が走る。
アスベルは“カルス”の攻撃を盾で受け止めた。
動きが見えたわけでなく、長年戦場で培った経験とカンが働いて防ぐことが出来たにすぎない。
アスベルは剣を盾で受けたまま、巨大な戦斧の一撃を、“カルス”にめがけて放ってきた。
“カルス”は、その攻撃をかわすと、神速の剣を放つ。
皮のベルトを切り飛ばされ、アスベルのラウンドシールドが地面に転がる。
アスベルは、あわてて後ろに飛びのく。
“カルス”には、まったく隙がなかった。
焦る気持ちが、心の奥底から芽生えてくる。アスベルは、最後の手段として身体ごと“カルス”にぶつかっていった。
“カルス”とアスベルの身体がぶつかりあう。
ガツッという音がして、“カルス”の鎧がまばゆい魔法のオーラを輝かせた。
「びくともしねぇ」
アスベルは驚愕する。タックルの衝撃は鎧の魔法付与で防がれたが、そのまま力押しで押さえこむつもりでいた。
しかし、身長は同じぐらいだが体のがたいは自分より、ひとまわり小さいこの聖騎士に力で押さえこまれてしまう。
「うっ嘘だろ!」
アスベルは、弾き飛ばされる。

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