クロス大陸戦記 40 しかし、リダールはすぐに顔から笑みを消し、真剣な表情になった。 「ゼスティン。お前はもう独り立ちせい」 「は…しかし」 異を唱えようとするゼスティンを押し止めて、リダールは続けた。 「正直な処、わしにはもう教える事が無い。いや、何を教えていいのかわからん」 ゼスティンにはその呟くような言い方が、悔しいとも、寂しいとも聞こえた。 「それに、年始の御前試合が済んだら官を辞すつもりで居ったからの…」 ゼスティンは息を呑んだ。