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クロス大陸戦記
その他リレー小説 - 戦争

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クロス大陸戦記 5

砂森亭の酒場を出ると目的の場所はすぐにわかった。
その場所だけ人垣ができていて、特に女達が騒いでいるのだ。
アスベルは人垣を掻き分けて、目的の人物と対峙する。
その人物は白馬を傍らに佇んでいた。背は大男のアスベルと同じくらいで、鍛えぬかれ均等のとれた肉体を聖騎士の鎧が包んでいた。確かに、伝説の聖騎士だとアスベルも思う。「ようこそ南部へ、私が南部軍副隊長のアスベルです」
アスベルは相手を値踏みする目つきで、挨拶をする。
「この南部軍の隊長に配属された“カルス”です。よろしくお願いします、アスベル副隊長」
“カルス”と名乗った若者が爽やかな笑顔を浮かべながら、アスベルに握手を求めてきた。
その爽やかな笑顔に、おもわず握手に応えてしまう、アスベル。
デスティン、いや“カルス”はアスベルに村の中にある南部軍の宿舎に案内される。
宿舎は“カルス”が思っていた以上に広く、100人程度なら余裕で生活できて、敵の襲撃時には村人を保護する事が出来る広さがあった。
宿舎に入ると、アスベルが騎士達を集める。「おめーら、よく聞け。この方は今度、俺たち南部軍の隊長になられた“カルス”隊長だ。ただの隊長じゃねぇー、中央の聖騎士隊長樣だ驚いたかヤロー共」
50人程度の騎士達に“カルス”を紹介するアスベル。
残りの騎士達は南の国境の警備に付いているらしく。
明日、挨拶と視察をかねてアスベルと行く事になり。
今夜は、歓迎の宴が開かれた。騎士達は中央の首都ロークの事や宰相バロの事を聞きたがり、“カルス”は正直に神聖帝国ゼビアの状況を話す。
“カルス”が宰相バロを快く思っていないと分かると、何処か安心した顔をする騎士達であった。
ただ、“カルス”が困ったのは、若い騎士達がしきりに剣聖ゼスティンの事を聞きたがりどう答えるか悩んでいると。
アスベルが酒を片手に歩いて来た。
「隊長、向こうで勝ち抜きの模擬試合をやってるんですが、出てみませんか」
ニヤリと笑いながら試すように聞いてくるアスベル。
「面白そうですね、良いですよ」
爽やかな笑顔を浮かべて、答える“カルス”。

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