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クロス大陸戦記
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クロス大陸戦記 4

南の国境の守りの任務に就く南部軍は、百人ほどの騎士が交替で持ち場を守り。普段は、近くの村に駐屯していた。
この村の名はアースと言い、ゼビアの首都ロークから馬を走らせても10日かかる辺境の地であった。
しかし、4年程前に砂漠の国アリバにアラジン王が即位して、神聖帝国ゼビアと砂漠の王国アリバの間に同盟が結ばれた事で、この村は、アリバとの交易の入口となる。
アースの村は活気があり、交易商人や騎士達が落して行く金で、潤っていた。
何より辺境である為に、一つの村が交易で潤っているなど宰相バロは考えにもつかなかった。
その為、アースの村は宰相の圧政から逃れた数少ない村の一つである。それ故に今度、南部軍の指揮官として首都ロークから来る聖騎士隊長の存在は村民や駐屯している騎士達にとって危険な存在であった。
ゼスティンは愛馬の白馬アークを走らせ9日程でアースの村に着いた。急いだわけではなかったが、軍馬として鍛えられたこの駿馬は普通の馬とは比べられない程の速さで走るのだ。
アースの村に、砂森亭と呼ばれる酒場がある。
この酒場は南部軍騎士を常連客としていて、この日も酒場は昼間から騒がしかった。 その酒場の二階にある一室に男が一人、ベットを椅子がわりにして酒を飲んでいた。 男は、かなりの大男で髪を短く刈り込み、浅黒い肌を鎧に包んでいた。
ベットの傍らには普通の物より、ひとまわり大きいバトルアックスと、ラウンドシールドが無造作に置かれていた。
「アスベル副長、大変です」
細身の背の低い騎士が慌てて部屋に入ってきた。
「騒がしいぞトロア、酒ぐらい静かに飲ませろ」
アスベルと呼ばれた大男は睨みつけながら怒鳴りつける。 「それどころじゃありません。中央から来るって言う聖騎士隊長が来てるんですよ」
トロアは小さい体には少し大き過ぎる全身鎧をガチャガチャと鳴らしながら叫ぶ。
「それで・・・。どんな男だった」
アスベルは、トロアを睨みつけながら聞く。「いや〜、それが絵に書いたような美男子で銀色の髪に、聖騎士の鎧を身に付け白馬にまたがり。まさに伝説の聖騎士樣です、村の女達が凄い騒いでますよ〜」
トロアは、熱に侵されたように興奮しながら話す。
「なにが伝説の聖騎士樣だ」
アスベルは馬鹿にするように呟くと、傍らのバトルアックスとラウンドシールドを持って部屋を出た。

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