クロス大陸戦記 34
村でも此処でもいかにも『仲間』という雰囲気を感じる。人の温かさと言おうか。
「いいか?失礼のねぇように頼むぜ?じゃあ隊長、どうぞ」
促されて、ゼスティンが食堂に歩み入ると騒ついていた騎士達が一気に静まった。
静寂の中、ゼスティンの足音だけが響く。
ゼスティンはアスベルの目配せに従って、長卓の上座にしつらえられた席の横に立ち、集まっている面々を見渡した。
幾つか見える知った顔は、ウルド、グライツ、そして一緒に入って来たセフィだ。残りは総て新顔…否、ゼスティンが新顔だと言うのが正確か。
ゼスティンは柔和な、しかし毅然とした微笑を浮かべた。
「南部騎士隊隊長を拝命した『カルス』です」
自己紹介を続けながら、ゼスティンは思う。戦いが終わったら人々は自分を何と呼ぶだろうか…。
まあ、いい。笑みが僅かに深まる。
運命の堰は切って落とされたのだから。
見渡す限りに広がる紺碧の大海か、目が眩み身が竦む程の大瀑布か。流れ着く先は、まだ、誰も知る事は無いのだ。
あがいて、戦い続けた先に在るものを見てみたいと思った。
そして、願わくは、それが活力に満ちた祖国であれば…と。
鬱蒼とした森の中をゼスティンは馬を進めていた。
岩や木の根が至る所に張り出した足場の悪い獣道のような間道をゼスティンの愛馬、アークは不安を感じさせない軽い足取りで進んで行く。同じく騎馬のウルドとディオスがその後に従っている。全員が略式ではあるが礼装を身に付けている。
着任から2週間(12日)。アスベル、ウルドの二人と共に進めてきた計画の目処が立った為、エレディアに向かっているのだ。
名目上は着任の挨拶と言う事になっているが、反バロの同盟を結ぶことが訪問の目的である。
それにあたって間道の調査も行うことにした。道に迷って荷が届かない、など間抜けにも程があるし、そもそも荷駄が通行出来なければ意味が無い。
「馬が来ますよ。多分トロアでしょうけど」
ディオスが呟くように言って目の前に広がる木々の間にじっと目を凝らした。
直ぐにゼスティンの耳にも馬の蹄の音が届いてきた。
しばらくすると茂みを抜けて馬に跨がった人物が姿を現した。
テスト
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テスト終了