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クロス大陸戦記
その他リレー小説 - 戦争

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クロス大陸戦記 16

「あと三つ・・・」
セシリーは、肩の傷を回復魔法で治しながら周りを確認する。肩から流れた血で、純白のドレスが赤く染まっていた。
当直の騎士達は苦戦しながらも守衛と共に、一体の魔族を囲んで倒しつつある。セシリーは残り二体の下級魔族を探すと、上級魔族と戦っているゼスティンの近くに、二体の下級魔族が倒されているのを見つける。
おそらく、ゼスティンが上級魔族の相手をしながら倒したのだろう。セシリーは自分も、もっと鍛えなければ、と思った。しかし、どれだけ鍛えても、ゼスティンを超える事は出来そうにない。
人がかくも強く偉大である事に、セシリーは感動し、全身が熱くなった。
上級魔族ヤロチは紫の魔法のオーラを放つ大鎌を振るい、ゼスティンに襲いかかっていた。ゼスティンはその攻撃を紙一重でかわしていた。見たところ防戦一方で、苦戦しているようであった。
だが、そうでない事はすぐに分かった。ゼスティンは、隙をついては剣を振るっている。魔族はその肉体に数箇所の深手を受け、青い血をどくどくと流しつづけている。
たが、次の瞬間!魔族の口から炎が放たれる。
ゼスティンは、かわしきれず白銀の鎧を焦がされた。
「援護します」
セシリーは慌てて魔族に神聖魔法を放つ。
ダメージを与えるつもりはない。魔族を牽制できればいいのだ。
狙いどおり魔族が反応し、攻撃をかわす。
その隙をつき、ゼスティンが切りかかった。ゼスティンの剣は、大鎌を持った、魔族の両腕を捕らえ、切り落とした。
魔族は苦しげな呻き声をあげ、後ろに後退る。
後ろに下がる、魔族の口から呪文が洩れはじめた。
「魔法か!」
ゼスティンは腰を落とし、魔族が魔法を放つ前に神速の四連突きを放つ。
閃光のような四つの突きは、同時に魔族の体え、四ヶ所の致命傷を与える。
「終わりだ!」
まだ、呪文を唱えつづける魔族の首を刎ねてとどめをさすゼスティン。
「終わりましたね」
ゼスティンは顔についた返り血を拭うと、ゆっくりとセシリーの方に近づいていった。
「魔族の数からみても、目的は三神具でわないようです。すみませんでした」
セシリーが謝ると、ゼスティンは何故謝られたのか分からないという顔をする。
「私のせいで、ゼスティン樣・・いっいえ、ゼスティン卿に回り道をさせてしまいました」
説明する、セシリー。「そんな事ですか、我々が寄らなければ当直の騎士の彼らは死んでいたと思います。結果的に良かったと思います。それと、ゼスティンと呼び捨てでお願いします」

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