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クロス大陸戦記
その他リレー小説 - 戦争

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クロス大陸戦記 15

長い首の大蛇の頭をした大男だった。太い牙が顎から伸びている。魔族は両手に大鎌を持っていた。
「上級魔族!」
ゼスティンは、セシリーの前に進み、魔族に向き合う。
「なんという魔族ですか?」
ゼスティンが、囁くように尋ねる。
「上級魔族はヤロチだと思います。強力な魔法を使うので、気を付けて下さい。下級魔族はジウズです。口から酸を吐きます」
セシリーが答えて、レイピアを抜く。後ろにいる騎士達も、武器を構える。
「上級魔族は、わたしが引き受けます」
ゼスティンが一歩、進み出た。
「でしたら、私達は下級魔族を・・・」
セシリーは守衛と騎士達にうなずきかけた。「わっわかりました」戸惑いながらも騎士達は答える。
彼らのその言葉が合図となったように、下級魔族達が不気味な唸り声をあげて突進してきた。
「来ます!」
セシリーはレイピアを構え、先頭の魔族に先制攻撃をしかけた。
魔族は、セシリーの攻撃をかわそうと身を屈めた。巧みな連続攻撃で、セシリーはレイピアを下段に振るう。
素早い攻撃に、魔族は反応出来ず。屈めていた首を、セシリーのレイピアが切り払う。
首を切り裂く感触が、手に伝わる。
魔族は横倒しになり、それを横目に確認したところへ、二体の魔族同時に襲いかかってきた。
一体は、当直の騎士が盾で突進を止める。
もう一体は、セシリーに黄色の液体を口から吐き出した。
セシリーは咄嗟に身をかわすが、後ろにいた騎士の胸当てに液体がかかる。じゅうという音がして、鎧の胸当てから白い煙をだしながら鎧を溶かす。
「酸よ!鎧を脱いで」セシリーは騎士に呼びかけながら、酸を吐いた魔族の首をレイピアで払った。手ごたいがあり、魔族の頭が床に落ちる。
だが、魔族は首を落とされても、水掻きと鋭い爪のはえた腕を振るってきた。
セシリーは身体を反らしたが、気付くのが遅れたため。
鋭い爪がセシリーの肩を、僅かにかすめる。かすめただけでもセシリーの身体は弾き飛ばされる衝撃だった。
セシリーは、転がりながら立ち上がる。
「滅びよ!」
肩に焼けるような熱を感じながら、頭を失った魔族に、セシリーは神聖魔法を唱える。見えざる力が目の前の魔族と、その後ろにいた魔族の身体を撃ち抜き。
身体に大きな穴を開け、二体の魔族は仰向けにのけぞり、そのまま後ろに倒れた。

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