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クロス大陸戦記
その他リレー小説 - 戦争

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クロス大陸戦記 14

「そんなに心配しなくても、わたし一人ならどんな状況でもきり抜けてみせるし、クーリ皇帝の傍には、常に30人以上の近衛騎士がいる。それに、宮廷魔術師のバロ導師も動いているはずだから大丈夫さ・・・」
安心させるように話すゼスティン。
「安心して下さい!パイス卿、ゼスティン卿には、私がついて行きますから」
セシリーが話す、彼女の姿はあれ程激しい戦いをした後なのに、純白のドレスに返り血ひとつ付いていない。
「セシリー樣!」
セシリーの言葉に、驚いて彼女を見るゼスティン。
「回復魔法の使い手は邪魔にならないと思います。それに広間の人達の護衛には、バルド司祭とグリウス司祭が行ってくれます、二人は大司祭樣に言われて私の傍にいますが、もともとは御自分の神殿を持っているほどの方達です」
セシリーは老司祭のバルドと、ドワーフの神官戦士グリウスを見ながら話す。
「判りました、御同行お願いします」
セシリーの強固な意志を感じ取り、同行を許すゼスティン。
「俺たちも、安全な場所まで送ったら、すぐに追い掛けるからな」話を聞いた、パイスが騒ぎだす。
「ああ!待ってるよ」ゼスティンは苦笑いしながら答えた。
「行きましょう」
セシリーはまるで礼拝所に祈りに赴くような厳粛な顔で声をかけてきた。
ゼスティンは先頭に立って、階段を駆けおり、宝庫へと向った。
宝庫には、二人の守衛と当直の騎士三人が扉の前にいた。
「どうやら宝庫には、魔族は来ていないようですね」
セシリーの声が凜と響く。
「どうかされたんですか?」
当直の騎士が、二人に気付き声をかけてくる。
セシリーが事情を話そうと口を開きかける。「・・・話をしている暇はなさそうです」
言うなり、ゼスティンは剣を抜いた。
セシリーは、はっと身を固くした。だが、それはゼスティンの行動のせいではない。
湿った足音が、したのだ。
そして、姿を現したものがいる。紫色の肌をした人型の生き物だった。魚の頭と、ひれのような突起が背中にある。
醜悪な姿の下級魔族は次々と姿を現す。
「どうやら、真打ちも登場のようです」
ゼスティンがつぶやきながら、セシリーの隣に移動してゆく。
言葉どおり、奥の通路から黒い影がぬらりと姿を現した。

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