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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 100

この時には、暴風4機が、超低空飛行のまま左右に分かれて「摂津」後方へ飛び去って行くところだった。

その頃、零式輸送機の機上では。
「こちら山岡1番、安定性は十分の模様!」
試作雷撃機隊との無線交信や、暴風の機動の模様が観測・撮影されていた。
「魚雷1命中と判定!」

これが暴風が艦戦・艦爆としてだけではなく、艦攻としても使用可能であることが証明された瞬間だった。
 
 
貝塚飛行場への帰還後。
高橋徹社長が言った。
「機体そのものは魚雷装備用の部品追加を除いて、さしたる変更の必要はありません。極端な話、前線部隊による改造で既存機への雷撃能力付与も可能です。」
雷撃試験を行ったチームの隊長、山岡少佐も言った。
「飛行特性はこれまでの暴風と変わりありません。安定性は同等でした。撮影映像からもお分かりいただけると思いますが、雷撃時、暴風は超低空でありながら時速505キロを発揮していました。
これは天山より優秀であると私は考えます。」

さらに、森里大佐たちの議論が続くが、結局、暴風は雷撃機としても用いられることになった。

「森里大佐、ハ214はいつ頂けるのでしょうか。」
高橋社長がまた質問を発した。
「うむ、三菱にはとにかく急ぐよう言ってあるが、2500馬力と高高度性能の両方を追求しただけに、まだ量産には少し時間がかかるようだ。」

ハ214を搭載した強化型の開発もすすめられていたが、エンジンの現物が届かないために開発は中断され、ハ42木星装備機の量産と改良が優先されていた。

改良機の中には、偵察員を乗せた複座の高速偵察機仕様や、1トンの搭載量を活かして主翼の20mm機関砲4門はそのままに、主翼下ガンポッド式に12.7mm機銃左右各2丁、機首には7.7mm機銃2丁を追加して火力を高めて敵艦や敵陣地の対空砲火などを制圧する制圧機型、さらには高高度性能が高くB29ともなんとか戦えることを活かして主翼の機関砲を30mm4門に積み替えた重戦闘機型などがあった。

他にも、複座化した指揮官機仕様のものも生産が開始されていた。複座型は後席に12.7mm連装旋回機銃を装備している。
生産ラインも零戦を縮小、九九艦爆は生産停止し、暴風とその派生型、そして烈風の生産を優先した。

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