PiPi's World 投稿小説

太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 96
 98
の最後へ

太平洋の荒波 98

「戦果次ノ通リ
・敵空母1隻大破炎上中
・敵空母1隻中破
・敵輸送船1隻轟沈
以上」
各個撃破に入ったが小林大尉はしっかりと戦果確認をし、空母「飛龍」宛に打電した。
攻撃隊の損害は零戦1機、九七艦攻2機、彗星2機の合計5機であった。日本軍航空隊は英艦体の上空で編隊を組み、帰艦した。
その頃、アメリカ軍機は日本軍艦隊を襲っていたが、その損害は僅かで、機銃掃射によって「赤城」が小損害、至近弾を2発受けた「金剛」が対空砲を2門破壊されただけであった。
「発進!」
「赤城」「加賀」「蒼龍」から攻撃隊が発進した。零戦19機、彗星12機、天山7機である。イギリス空母に再攻撃をかけるのだ。攻撃隊長は板谷茂少佐(零戦搭乗)であった。
「黒煙だ。先の攻撃隊の戦果か?」
すると眼下にイギリス艦隊が見えてきた。
「ト・ツ・レ(突撃体勢作れ)」
「トトトトトト・・・・・・・(全軍突撃せよ)」
ギュウゥ〜ン
ドガガガガガガガガ
零戦がイギリス軍空母に機銃掃射をかける。これに対し
ズドドドドドドドドドドド
イギリス軍の対空砲も火を吹く。
ヒュウゥ〜 ヒュウゥ〜
ドガァ〜ン ズズゥーン
彗星の急降下爆撃で「ヴィクトリアス」の飛行甲板に火の手が上がり
ズズズズズズズ
各所で爆発を繰り返しながら「ヴィクトリアス」は波間に消えていった。
ザザァ〜ッ
ズシーン!!
天山も「インプラカブル」の左舷前部に魚雷を叩き込んだ。
ギュウゥ〜ン ドーン
被弾した零戦も「インプラカブル」の左舷後部船腹に体当たり、喫水線近くに破穴あけた。
「止めだ!」
シュウゥ〜 ズズ〜ン
再び天山が魚雷を左舷に命中させた。
ズズズズズズ
亀裂の走ったパイプから漏れたガスに引火したことによって艦内で爆発も発生し、「インプラカブル」は左舷に傾きながら沈んでいった。
「戦果次ノ通リ
・敵空母2隻撃沈
以上」
――――――――


その頃、本土では。
シベリア鉄道経由で大阪港に陸揚げされたドイツ製工作機械多数が、拡張なった大阪航空工業の岸和田工場に運び込まれ、それに軍需省の肝煎りで新設された航空機エンジン工場、三菱重工堺工場にも送り込まれ、それぞれが操業を開始していた。

阪和電気鉄道沿いに造られた堺工場は阪和電気鉄道を使って、陸海軍統合名称ハ42(陸軍名ハ104、海軍名木星)エンジンを送り出し、改良型のハ214エンジンの量産寸前まで行っていた。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す