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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 69

一方、パナマ運河経由で大西洋からイギリスに貸与していた護衛空母がサンディエゴに向かっていた。アメリカ軍は総力を挙げての大反撃を計画していたのであった。しかし逆に言えばこの作戦が失敗したと同時にアメリカは対枢軸国講和を考えなくてはいけないという大きな賭けでもあった。
この頃、ドイツは対英空襲作戦を続けていたが、海上では潜水艦のみが働いており、イギリスにとってあまり多くの護衛空母は必要なくなっていた。ドイツのヘルマン・ゲーリング空軍元帥は
「飛行爆弾と空襲でイギリスを追い詰められる。」
と豪語し、一方でカールデーニッツ海軍総司令官は
「イギリス海軍は強大でなかなか敵わない。」
と言っていた。これが当時のヨーロッパの状況であった。
「シェナンゴ(アメリカ名、エッソー・ニューオリンズ)」「ルーラー(同、セントジョセフ)」「トラッカー(同、モーマックメール)」「バトラー(同、モーマックターン)」の4隻がパナマ経由でサンディエゴに入港した。
「ご苦労である。航空機は十分あるので早速搭載し、訓練に入ってくれたまえ。」
さらに「ハンター(アメリカ名、ブロックアイランド)」、「パシュアー(同、セントジョージ)」の2隻はサンフランシスコに入った。イギリス海軍の正規空母「インプラカブル」と「ヴィクトリアス」もサンフランシスコに入った。
日本海軍はハワイ沖海戦で被害を受けながらも、ある程度修理なった「赤城」「加賀」「蒼龍」「翔鶴」の4隻をトラック島に移動させ本格的修理に入った。
残った「飛龍」「瑞鶴」と4隻の高速戦艦、巡洋艦4隻、駆逐艦7隻は艦隊名が変わった。「機動部隊本隊」ではなく「ハワイ方面機動部隊」となったのである。
「これから暫くは防衛任務が主となる。」
「飛龍」艦長の加來止男大佐はそう船員に告げた。

日本軍は次の作戦を起こそうとしていた。「大和」以下戦艦を利用してアリューシャン列島全域を占領し、そこからシアトルを攻撃、アメリカに厭戦気分を広げさせようというものであった。

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