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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 65

日本軍空母の内「雲龍」とその同型艦「天城」「葛城」そして大和型戦艦改造空母「信濃」は未だ出番がなかった。しかし、この空母が新たな脚光を浴びた。日本軍が開発した新兵器の導入である。
新兵器の名は「菫花」である。これは無人飛行爆弾で、艦船の熱源を探知しそれをめがけて飛んでいくものであった。また遠隔操作も可能な上、飛行機に取り付けることもできるものであった。この「董花」をこの4空母に多数搭載し、アメリカ海軍止めを刺そうと考えたのだ。
今回、「信濃」には「菫花」が400基搭載されていた。
「信濃」改装にあたり連合艦隊司令部は「排水量に見合う搭載機数を」と強く要望したため、飛行甲板の装甲化は行われず、搭載機数は通常の艦上機の場合で暴風が121機、艦上偵察機「天山」が10機の合計131機にも達した。
人事異動で「信濃」「雲龍」「天城」「葛城」の4空母と随伴する艦隊を率いるのは小澤治三郎中将となった。

12月23日、アメリカ軍はロサンゼルス、サンフランシスコ両基地からB29を飛ばし日本軍の修理中の空母を攻撃した。この攻撃は3両日続き、出撃したB29は延べ1500機に上った。日本軍も暴風や紫電改で反撃し合計77機を撃墜したが29機を失った。更に修理中の「赤城」と「加賀」が大打撃を受けてしまった。
「しまった・・・・・・」
とハワイに来ていた源田実中佐はこの惨状を見て呟いた。
日本軍はB29の基地を破壊しようとしたが、ハワイの攻防戦でそれまで主力だった航空艦隊は疲れ切っており、新たに編成された航空艦隊(「信濃」「雲龍」「天城」「葛城」を中心とした部隊や「紅鶴」「宝鶴」を中心とした部隊)にアメリカ本土攻撃させるのは危険すぎた。
「潜水艦作戦はどうか?」
大本営作戦室でこのような意見が出た。
「伊400型潜水艦は既に1隻が完成間近です。」
「しかし、伊400型は隠密性が低く帰還の可能性は限りなく低い。」
結局この意見によりB29発進基地攻撃作戦は暫く先となりそうであった。

1944年12月30日、日本海軍はアメリカ海軍潜水艦を撃滅しようとハワイから藍山を飛ばしパルミラを空襲した。
「投下!」
ドドドドドドドド
パルミラの飛行場がまず狙われあっという間に壊滅した。
「帰還ス。」
この攻撃に触発されたアメリカ軍が僅かに残った水上艦隊と潜水艦を出撃させることを狙った作戦であった。

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